アート思考研究会の2020年を振り返る

ブリューゲル『ピーデル・ブリューゲル『死の勝利』@public domain
制作年/1562年頃  所蔵/プラド美術館 種類/油彩

代表幹事の秋山ゆかりです。2020年1月、代表幹事をしている阪井和男先生、浅井由剛さん、片山淳さんと共に、明治大学サービス創新研究所内にアート思考研究会を立ち上げました。2019年12月から立ち上げに向けて議論を重ねていたので、2019年の年末2020年の年始にウェブサイト等の立ち上げを含めて作業をしました。また、この時期に、5月に発表した阪井先生との共著論文、「アート思考はブームになったのか?―デザイン思考とアート思考の社会的受容―」も書いていました。

2020年に研究会を立ち上げたときの目標は、「アート思考に関する情報が一か所でとれるような情報のハブを作ること」「アート思考に関するディスカッションができる場を作ること」の2つでした。

2020年3月29日に予定していた定例研究会「創造性はどう形づくられるか」は大変残念なことに、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、中止となりました。そして、4月7日に緊急事態宣言があり、このタイミングで今年度の研究会すべてのオンライン開催を決めました。芸術思考学会のビジネス研究会(2018年4月~2019年12月までを当時学会の副会長だった秋山ゆかりと事務局長だった浅井由剛さんが代表)のころから、研究会はオンライン参加できるようにしてほしいという要望が出ていたため、オンライン研究会という形で全世界から参加可能になったのはいい点だったと思います。

リアルで会えないというフラストレーションはありましたが、いい面だけを見ながら進めていこうと浅井由剛さんと話し合いながら進めていきました。

以下、少し長くなりますが、ご協力してくださった研究会員の皆さま、ご登壇いただいたスピーカーの方々、インタビューにご協力してくださった皆様に感謝をこめて、2020年のアート思考研究会立ち上げから1年間、研究会で行ったことを振り返り、まとめます。代表幹事の力だけでは到底できないほどのことをこの1年で達成できたと感じております。この場をお借りして改めてお礼をお伝えいたします。どうもありがとうございました!!

アート思考の定義と歴史

アート思考の定義と歴史はきちんとまとまったものがないねというのが気になっていたので、代表幹事・幹事の考えるアート思考の定義を書きました。秋山ゆかり・浅井由剛さん・阪井和男先生は、2014年から一緒に研究してきたこともあり、定義が同じなのですが、他の方々は定義が異なるため、それぞれの定義を並べました。また、上記に紹介した「アート思考はブームになったのか?―デザイン思考とアート思考の社会的受容―」の論文の中でまとめたものに加筆し、アート思考の歴史をまとめました。「アート思考の定義と歴史」というページを用意しました。

定例研究会とミニ研究会

2020年は、定例研究会を5回開催することができました。

このほか、カジュアルに研究会員が参加できるアート思考研究会Miniを6月から毎月開催しました。こちらは録画やメモの共有はなく、オフレコで話ができる場として、基本的には第三木曜日の夜8-9時にオンライン開催をしました。

  • 6月: 外的モチベーションと内的モチベーション
  • 7月: アート×ビジネス:日本マーケティング協会のアート×ビジネスシンポジウムから
  • 8月: アート×ライフ
  • 9月: 『アート思考』秋元先生のインタビュー後記
  • 10月: アート・イン・ビジネス
  • 11月: 『日々の政治 ソーシャルイノベーションをもたらすデザイン文化』から考えるアート思考
  • 12月: 代表幹事・幹事7名全員参加の忘年会
書評チーム結成、アート思考新刊案内と書評をリリース

2018年からアート思考の本がマーケットに出始めてきたのですが、研究会員はそのほとんどをチェックしているため、アート思考の書評を出せるといいねという話は2019年から出ていました。それをこの研究会で形にしようと、まず2018年の新刊2019年の新刊をまとめはじめました。現在、山田亜紀子さんを中心に新刊案内を出しています。その間、書評チームに参加するメンバーを募り、4月1日に書評チームが結成。代表幹事の片山さんと幹事の中郡さんがリーダーに就任しました。2020年12月末時点で、書評チームのメンバーは総勢17名。運営者についてのページでお名前とお顔を出しております。そして、4月19日から書評を出し始め、12月25日までに35冊の書評を出しました。

書評タイトル一覧:

こうして並べてみると、「いっぱい出した~~!!」片山さん、中郡さん、そして、書評にご寄稿いただいた皆様、本当にありがとうございました! 

著者インタビューも実施!

小野寺さんが6月26日に『アート思考〜ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法〜』の書評を出したところ、この本の担当編集の渡辺さんがSNSでこの記事を紹介してくださったことがご縁で、「インタビューさせてください!」とお願いしたところ、とんとん拍子にインタビューが決まりました。インタビューをするにあたり、会員向けに「インタビューの肝 基礎編」という勉強会を開催し、念入りにインタビュー準備をしました。結果、すごくいいインタビューができたと思います。来年度は、著者やアート思考を体現している方々のインタビューシリーズができるといいなぁと思っています! 秋元先生、渡辺さん、そして、小野寺さん、ありがとうございました!

セミナーレポートも続々投稿

アート思考関連のセミナーを受講した会員から続々とレポートもあがってくるようになりました。

会員によるブログもスタート

代表幹事の浅井由剛さんがブログを5月7日からスタート。私も浅井由剛さんに触発されて6月からブログをスタート。とはいえ、他の記事をアップしたり、研究会のアレンジやインタビュー実施などの新しいプロジェクトに忙殺されて、ブログ更新途切れがちですが……。そして、8月から会員の柴田雄一郎さんがブログをスタート! 柴田さんのブログは面白すぎると話題になっています。

幹事だけでなく、会員の方にブログ投稿をしてもらえるようになって、本当にうれしい限りです。柴田さん、どうもありがとうございます!

アート思考関連記事とツイッターボット

最後に、アート思考関連記事を3月29日~9月30日までの半年間、毎週紹介してきました。

この背景には、2020年1月に、本研究会の代表幹事のひとりである阪井和男先生と『アート思考はブームになったのか?――デザイン思考とアート思考の社会的受容――』という論文を書き、5月に発表したのですが、その論文のなかで、2019年8月からアート思考がデザイン思考を凌駕しつつある現状を検証し、アート思考がネットを中心にブームを引き起こしていることを論証しました。

具体的にどんな記事がネットを中心にブームを引き起こしているのか?

その内容を検証するためのものでした。半年間やってみえたことを「アート思考関連記事を半年紹介して見えたこと」にまとめました。
気づき①日本のトップクラスの大学が、アート・アート思考をテーマに人材育成をはじめとしたプログラムをスタート
気づき②子ども向けの記事やプログラムも多数目にするようになった
気づき③アート思考をテーマとするアイコニックな人たちが出てきた

このプロジェクト終了後、新刊紹介をしてくださっている山田亜紀子さんと一緒に、アート思考関連記事を集めるツイッターボットを作成しました。元エンジニアのガールズチーム(山田さんも私も元エンジニア!)が頑張りました!!

そして、アート思考研究会のトップページに組み込みました。これにより、記事を自動収集できるようになりました。ボットをぜひともフォローしてください。毎日アート思考関連の記事を紹介してくれます♪

2020年、多くのことを達成できた1年でした

立ち上げ早々の研究会が新型コロナウィルス感染症のパンデミックでキャンセルとなり、「2020年どうなるんだ!?研究会は無事立ち上がるのか!?」と代表幹事の浅井由剛さんと何度も不安を共有しながらも、できることを進めていこうと走った結果、これだけの多くの成果を残すことができました。

このほかにも、Facebook Groupでのディスカッションや、Facebook Groupで話題となったテーマをスピンアウトしたオンラインディスカッションやレクチャーなどが行われています。

2021年に向けて、浅井由剛さんと新しい企画を練り、新プロジェクトをスタートさせました。今年と同じスピードで同じようなアウトプットの仕方ではなくなるとは思いますが、新しい1年を会員の皆さまと一緒に作っていけるといいなぁと思います。皆さま、ご支援いただき本当にありがとうございました。2021年もどうぞよろしくお願いいたします!

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