未完を楽しむ

未完成というのは、よくなる前触れなわけです。

でも、完成っていうのはストップした感じ。

開発途上だったなら、INGがついている進行形ですよね。

(中略)

昔、美術館で並んでいる中の、ある作品を前に猪野弦一郎先生がひとこと、「これは『どうです、うまいでしょう』と言っているような絵ですね」
謙虚に、ひたすら、たどたどしくても。

そのとき、ひそかに思いました。

田村セツコ著『孤独をたのしむ本』p.66-67

この一節を読んで、昔、BCG(ボストンコンサルティンググループ)で働いていた時に、上司から、「気持ち悪いのを我慢して、そこからインサイトを見つけるんだ」というようなことを言われたことを思い出しました。

わからない、いろいろと調べる、インタビューしてみる、考えてみる、それでもわからない。そのわからない状態にどれだけ長く自分が浸かっていられるか、諦めずに考え続けることができるのかが大事だという教えでした。

誰も描いたことのないような成長戦略を作るときも、誰も起こしたことのないようなビジネスを立ち上げる時も、脳に汗かくくらい考え、動いて、結果につなげていくのですが、そのわからないぐちゃぐちゃした未完の状態を楽しめることが大事だなぁとその時に学んだのでした。

演奏も同じく、これでいいと満足してしまうと成長がありません。

未完の状態を楽しみながら、自分の成長を促す人でありたいですね。

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