今月は、ガウディの一連の言葉を毎週1行ずつにわけてご紹介しています。
バルセロナで仕事をしていた時に、あちこちの美術館や著名な建築物などを見て回っていたのですが、その時に、はじめて、ガウディの一連の言葉の中のこの1行を読んだ時に、「深いな」と思いました。
当時、本業のビジネスでは新規事業の立ち上げ等をやっていたのですが、ディスカッションした相手が1か月もしないうちに「弊社はこのようなサービスを立ち上げることにしました」とプレスリリースを出したのです。顧客分析もビジネスモデルも私がパワポで作っていたものをそのまま使われていたこともあり、先方にどういうことなのかメールをしたところ、電話がかかってきました。
「社内の受けがよかったんで、弊社でリリースすることにしました」
私のアイディアですよね?
うちの会社と一緒にやる件はどうなるんですか?
NDAありますよね?
あれこれ聞いてもなしのつぶて。
協業する気はなく、アイディアだけパクられたと怒っても後の祭りでした。
上司に相談したら、きちっと練っていたのはこちらで、その内容は全部は出していないから、そのうち行き詰るかもしれないし、自社だけで立ち上げることは難しいものだったのだから、パートナー企業にアプローチした時点で、パクられるのは覚悟でやる必要があったと思う。彼らが簡単に立ち上げられるならそれは参入障壁が低いということだから、うちの会社でやっても大きなビジネスにはできなかったかもしれないから、さっさっと気持ち切り替えて、次のプロジェクトへ行こうというようなことを言われて、「パクる人ってパクって逃げるんだな」と思ったのでした。
その一連のことを、ガウディの言葉を見ながら思い出し、「深い・・・」となったのでした。
戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。