【アート思考の原体験と教育】

画像1
父撮影

ルーツは日本万国博覧会

真ん中の子が今から50年前、1970年開催された日本万国博覧会の私です。圧倒的に素敵な未来のテクノロジーとアートやデザインがそこにはあったんです。それが僕の未来像になりました。SF映画のような未来の建物や見たことのないデザインやロボットは単なる物質的な豊かさだけではないアートとテクノロジーが融合した未来都市。その頃から人間の創造力の素晴らしさやテクノロジーの可能性が自分の中に芽生えたのかもしれません。

 この体験が僕のアートの原体験だったのだと思います。そして、50年の間に 経済は成長し、テクノロジーも急速に進み日本は世界的にも安全で便利な社会になりました。ところが、今の日本はテクノロジーで世界に存在しているだろうか?そして、もっと気がかりなのはアートやデザインの感性が追いついていないのではないか。そんな疑問が生まれてきました。

でも、まだ遅くないと思います。生産性や単純作業は機械がこなす時代ですから、人はもっと創造的な事に専念できるはずです。日本人の感性を活かして創造性を発揮すれば、もっと独自のアートや文化をこれからも創造できるはずです。

画像2

資料:文科省

教育とアート

教育におけるアートやデザインの時間はこれからもっと必要だと思っています。授業の内容もつまらないから興味も薄れて、アートの敷居が高くなり創造することに対して自らハードルを上げてしまっているのでしょうね。本当はこんなに面白い授業はないはずなのに、、

現代美術家の宮島達男さんは著書で、

「今、日本の小、中、高校の教育現場では、公立高校を中心に美術の時間が削減されたり選択制になったりしています」「今や、専任の美術教員を常勤で置いている学校の方が少ない」「これは、まさに美術教育の危機、いや、人間や社会にとっての危機だと思っています」

『アーティストになれる人、なれない人』

と書かれていました。

私が「アート思考」をテーマに社会人向けの講師というか、思考と好奇心の種まきをはじめたのも逗子市の共育(トモイク)推進事業で、子ども向けの学校外教室を毎月1回1年間続けた事がきっかけの1つでした。豆腐作りからプログラミング、影絵などなど1年やって、集大成的な親子のフェスをCANVASの石戸 奈々子さん他をお招きして開催しました。

そして、わかったことは、子どもはみんなアーティストだという事です。パブロ・ピカソは『子供は誰でも芸術家だ。問題は、大人になっても芸術家でいられるかどうかだ』と言っています。そして、問題なのは大人たち(親)であるという事もわかりました。大人になるということは、芸術家を辞めること?でも、元は芸術家だったんだから、誰でも思い出せば芸術家に戻れるはず。大人や社会の「こうあるべき」という押し売りが、どんどん積み重なり、創造性に対する自己肯定感が薄れていってしまいます。大人が忘れていたアートマインドを復活させたい。そんな思いで臨床美術を参考にしてセミナー受講者の全てがアーティストになれるアート✖️デザイン思考入門セミナーをスキルシェアサイト「ストリートアカデミ」で開催しました。すると、瞬く間に42000ある講座の中でビジネスカテゴリーのランキング最大2位になりました。

子どもはなぜ砂山をつくるのでしょう?

子ども達は砂山を作る時に、報酬、意味、義務、評価なんて考えてないですよね?大人になるにつれて、やりたいことより、やらなければいけないこと、やらされていることが増えてきます。報酬、意味、義務、評価に生かされるようになります。単純にいえばワガママでいられなくなります。社会に出ることで心理的限界や学習性無力感といったバイアスが積み重なり、次第に自立性や自己肯定感、創造性が失われていきます。アート思考の基本は誰かのためではなく、まず内発性、つまり自分の本当にやりたいことから自立的に創造することです。自分の中にワガママを持つことです。自分自身が超自分ごとでいられるかどうかなんです。

スライド2

山口周さんのツイッターに

『創造性はよく「認知に関する能力」だと思われています。でも創造性の研究に一生を捧げた心理学者、チクセントミハイは「感情に関する能力」だと言っていますね。僕が「わがままを回復しよう」と言ってるのはそのためです。だから成功したアーティストや起業家にはわがままな人が多いでしょう?』

https://twitter.com/shu_yamaguchi

というツイートがありました。

チクセントミハイは内発的に動機づけられた自己の没入感覚を伴う楽しい経験をフロー状態といい、その時人は高いレベルの集中力を示し、楽しさ、満足感、状況のコントロール感、自尊感情の高まりなどを経験するといいます。まさに超自分=ワガママな状態と言っていいでしょう。子ども達が砂山を作る時、この状態にあるのでしょう。この体験が人の感性をより豊かにし、創造性と自己肯定感を生み出す重要な時間となります。

アート思考はビジネスの文脈で語られることが多いですが、元をただせば教育の現場から変えていく必要があります。

これからの時代に求められる創造性をいかに維持するか。。。あと10年しないうちにAIが人間の知能を超える(シンギュラリティ)と言われています。だからこそ、感性や好奇心を忘れない事が必要なのだと感じます。そのためにはまず大人の頭をやわらかくしないといけないですね。

アート×デザイン思考入門と実践はこちら
シバのツイッターはこちら(お気軽にフォローしてください)

関連記事

  1. 第17回 ニューエイジ

  2. 【衰退社会の幸福論】

  3. 【ヴァーチャル・マーケット2022】

  4. 『アート思考』からアート思考と向き合う旅へ

  5. 第7回: 視点の多様性を受容する

  6. 第8回: ファシリテーションの秘訣を探る

  7. 第1回:どうして医学教育にアートが必要なの?

  8. 見る: 3つの目を養う

2024年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

入会案内

ご入会手続きはこちらから

献本について

献本をご希望の方はこちらへ

Archive

アート思考関連記事のツイート