わたしは、退屈なことが好きだ

今でこそ複製はとても簡単にできることであり、模倣は悪であり似てるものも皆、否定の対象になってしまいます。

椎名林檎さんのヘルプマークに似せたファンへの特典グッズも、デザインが模倣となり、介助を必要としてヘルプマークを見につけている人への配慮が足りないと、ネットで炎上してしまったようです。

少しでも似ていると、それは模倣となり、この世に存在してはいけないものになってしまう、その傾向はいつからのことだろうと思います。
時には模倣による表現も存在しており、模倣による社会への問題定義もあり得るのです。

その昔は模倣するにしても、かなりの労力と技術を必要としたと想像できます。
今のように簡単に模倣の対象となる画像が入手できることもなく、
入手できたとしても、それに似た、もしくそっくりなものを作るためには、相当の労力と技術が必要でした。

そんなことだったので、人は同じものを複製できる技術を待ち望んでいました。

自分が書いた書類を10部用意することは、今では本当に容易なことではあるのだけど、アンディ・ウォーホルが活躍した60年代までは、とても労力を必要とするものでした。

世界初の事務用複合機が発売されたのが、1959年です。
まだまだ一般の人には手が出ない様な金額のものです。

コピーをすることのコストが非常に高い時代に、複製をテーマに創作されたアンディ・ウォーホルの作品は、手をかけずに複製できる技術への賞賛であったかもしれません。

わたしは、退屈なことが好きだ。

とは、まさに現代のボタンひとつで複製が出来てしまう時代への憧れであるかも知れません。
そして、複製に意味を見出そうとするアンディ・ウォーホルの先見性に驚くのでした。

関連記事

  1. 「創造的な生き方」とは、かならずしもプロのアーティストや芸術一筋の人生…

  2. ありとあらゆる人生への好奇心が、偉大な創造者たちの秘密だと思う

  3. 生活なしに芸術を知ろうと思う人は、……芸術まで譲って貰えると思う人だ

  4. すべての子どもは生まれながらにしてアーティストだ。問題は、大人になって…

  5. かばんの中に何があるのかをお見せしましょう。

  6. 体験済みの未来なんか、ひとつもない。ダメかどうかは、やってみなきゃ分か…

  7. 自分自身の目で見、自分自身の心で感じる人は、とても少ない。

  8. 芸術家は火を起こす前に閃光を創り出さなくてはならない

2025年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

入会案内

ご入会手続きはこちらから

献本について

献本をご希望の方はこちらへ

Archive

アート思考関連記事のツイート