アンディ・ウォーホルの言葉は優しい言葉で出来ていて、人に優しさと創造性の向上を目指していこうという内容が多い様な気がしています。
実際、アンディ・ウォーホルの言葉を知っている訳ではないし、目につく彼の言葉を鑑みると、優しい言葉が多いのです。
しかし、彼の言葉は、その優しそうな言葉の裏には人間の欺瞞を指摘する鋭さを感じます。
「美しいといえない人なんて、今まで会ったことないよ。」
とは、アンディ・ウォーホルの著書「ぼくの哲学」からの言葉ですが、なかなか素直にこと言葉を受け取ることはできず、この意味の裏にあるアンディのメッセージはなんなのかを詮索してしまいます。
アンディ自身はかなりの苦労人で変人とどの本にも書かれています。
皮膚の病気になり、その後は精神衰弱に陥り、なかなり普通からは遠い存在として生きるしかなかった人生を追うことになります。
常識的な人の前では自分の存在をなくした方が楽に生きていけたのではないのかと思います。
そんなアンディは60年代のトレンドメーカーとしても数奇な存在になっていきます。
自分の存在をなくしても、そこには自分の作ったパーティーがあり、そこで常識的なゴージャスな人たちは刹那的な楽しみに耽っていくことになります。
そのパーティーに参加した人々は、このパーティーを作ったアンディを讃えて、アンディは取り巻きから奇人であり、ポップでヒップな現代アートのカリスマとなっていきます。
しかし、そんなアンディも自分の存在は不要であり、なんでもない機械となり、自分の存在がアートではなくて、作品を作り出す過程をアートとしたかったのでないかと想像してみます。
きっと、カリスマとなっても、自分の存在よりも他人の存在の方に親しみと価値を覚えたのかも知れないと思います。
なので、自分以外の人は皆美しいと思えたのかも知れません。
自分の存在を消して、なにかを作ろうとしているアンディのメンタリティ、なにか共有できるところが多くて、嬉しくなってきます。
静岡県沼津市生まれ
武蔵美術大学 空間演出デザイン卒業
大学卒業後、3年間、世界各地で働きながらバックパッカー生活を送る。
放浪中に、多様な価値観に触れ、本格的にデザインの世界に入るきっかけとなる。
2008年株式会社カラーコード設立。
デザイン制作をするかたわら、ふつうの人のためのデザイン講座、企業研修の講師を務める。
現在は、京都芸術大学准教授として教鞭ととりつつ、アート思考を活かしたデザインコンサルティングをおこなう。