「からたちの花」や「かやの木山の」「AIYANの歌」などの歌曲や、「赤とんぼ」「砂山」「ペチカ」「待ちぼうけ」などの童謡など、現在でも歌い継がれている多くの曲を残している山田耕筰。
私はロシアやフランスオペラ&歌曲を多く演奏し、あまり日本の作品は演奏しないのですが、山田耕筰と中田喜直の作品だけは例外でよく演奏します。それは、山田耕筰の曲の美しさは宗教に通じていると感じるからかもしれません。特に、「からたちの花」や「この道」に繋がっていった旋律の元が感じられる「幽韻」をとてもよく演奏します。
海外で演奏活動をしていると、イヤでも日本人としての自分を意識する場面が多くあります。
なぜ、外国人が西洋音楽を演奏するのか?
私はその解を、山田耕筰に求めたのだと思います。
ドイツ留学中から、「日本の作曲家」としての表現(作品、言説)を積極的に行っていったところに、山田耕筰自身が作り出した「日本の曲」の創造性の原点があります。
そして、それを昇華させていったところに、私は山田耕筰の創造性に強く惹かれるのだと思います。
知識の極みのさきには、神秘の世界がある。
淵眞吉著『楽聖 山田耕筰を囲む人びと』P.245
神秘の扉を開いて光明の彼岸に達せんとするは、ただ感悟の力によるのみ
注: 感悟とは、「心に感じてはっと思いあたること。また、感動すること。」(日本国語大辞典)
感じることが大切なのは間違いないのですが、感じるだけでは創造はできないという話をよくアート思考研究会でします。
知識を極めた先にあるのが神秘の世界。
つまり、知識がなければそこには到達できないのです。
さらに、彼岸にたどり着くには、はっと悟りを開く瞬間が来るまで「感動する」力が必要なのです。
創造性には、知識も感じる力も両方必要なのですね。
戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。