美しいといえない人になんて 今まで会ったことないよ。

アンディ・ウォーホルの言葉は優しい言葉で出来ていて、人に優しさと創造性の向上を目指していこうという内容が多い様な気がしています。
実際、アンディ・ウォーホルの言葉を知っている訳ではないし、目につく彼の言葉を鑑みると、優しい言葉が多いのです。
しかし、彼の言葉は、その優しそうな言葉の裏には人間の欺瞞を指摘する鋭さを感じます。

「美しいといえない人なんて、今まで会ったことないよ。」
とは、アンディ・ウォーホルの著書「ぼくの哲学」からの言葉ですが、なかなか素直にこと言葉を受け取ることはできず、この意味の裏にあるアンディのメッセージはなんなのかを詮索してしまいます。

アンディ自身はかなりの苦労人で変人とどの本にも書かれています。
皮膚の病気になり、その後は精神衰弱に陥り、なかなり普通からは遠い存在として生きるしかなかった人生を追うことになります。
常識的な人の前では自分の存在をなくした方が楽に生きていけたのではないのかと思います。

そんなアンディは60年代のトレンドメーカーとしても数奇な存在になっていきます。

自分の存在をなくしても、そこには自分の作ったパーティーがあり、そこで常識的なゴージャスな人たちは刹那的な楽しみに耽っていくことになります。
そのパーティーに参加した人々は、このパーティーを作ったアンディを讃えて、アンディは取り巻きから奇人であり、ポップでヒップな現代アートのカリスマとなっていきます。

しかし、そんなアンディも自分の存在は不要であり、なんでもない機械となり、自分の存在がアートではなくて、作品を作り出す過程をアートとしたかったのでないかと想像してみます。

きっと、カリスマとなっても、自分の存在よりも他人の存在の方に親しみと価値を覚えたのかも知れないと思います。
なので、自分以外の人は皆美しいと思えたのかも知れません。

自分の存在を消して、なにかを作ろうとしているアンディのメンタリティ、なにか共有できるところが多くて、嬉しくなってきます。


関連記事

  1. もしあなたと私がアイデアを交換したら、持っているアイデアは2つずつにな…

  2. 可能領域を見極めるには、その境界を超えて不可能領域に踏み込んでいくしか…

  3. 私たちの最大の弱点は諦めることにある

  4. 真実とは想像力の所産だ

  5. いかなる創造活動も、はじめは破壊活動だ

  6. 積小為大

  7. あなたは何かを見て”なぜそうなのか”というだろう
    しかし私は存在…

  8. 芸術家はたくさん仕事をするためには、時には描かずにいる必要がある

2024年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

入会案内

ご入会手続きはこちらから

献本について

献本をご希望の方はこちらへ

Archive

アート思考関連記事のツイート