【何かと話題のNFTやメタバースについて2:NFTバブル】

どういうわけか、新し物好き、というよりは新し物好かれ、とでも言いましょうか。
それほど興味もなかったNFTに好かれてるみたいで、発端は90年代から本場NYのストリートでグラフィティーを描き続けているshiroさんがCryptovoxels(クリプトボクセルズ)というメタバースでNFT作品を販売したあたりからです。

デジタルアートでなく、フィジカルな作品がメタバースで販売するって良いな、、というところからNFTに興味を持ち始めました。

https://note.com/48art/n/n6e185cb9c74f

shiroさんの作品をNFT化するにあたり日本のクリプトアーティストコミュニティ”NFT & CRYPTO ART JAPAN”も運営している浅田 真理さんがサポートしていて、浅田さんとは7年ほど前、逗子のメディアアートフェスで知り合いになったのですが、浅田さんの誘いで横浜で開催された先端的なアートを集めた企画展「グレートリセット・スモールリブート ~その後をつくる創造力」のトークセッションに登壇したり、最近では外資系の投資家向けコンサル会社からヒアリングの要請があったりとNFT関連がワチャワチャしてきたわけです。

海外のオークションサイトでNFTのデジタルアートが「約75億円」や、日本でも「小3生、NFTアートで4000万円ゲット」(スッキリ/日本テレビ)など話題ですが、

まず、NFTの特徴は

1、唯一性を証明できる

2、改ざんできない

3、データの作成者/所有者を記録できる

4、転売時に作家に対してロイヤリティーが支払われる

といいますが、

今までのデジタル作品は、簡単にコピーできてしまうので1点モノの芸術作品としての価値がなかったのですが、唯一性を証明できるという点が特徴です。また、既存の芸術作品は一度購入者の手に渡りオークションに出されると作者には支払いが発生しないのに対し購入者がより高い値段で他者に転売した際に、手数料を作者に発生させることが可能です。

でも、ここで誤解している人も多いと思います。

1、NFTトークンの所有権を証明であって、紐づいたアート作品の自体の所有権や著作権を証明するものではない。

2、 NFTはDRM(著作権保護技術)ではなく、アート作品のコピーを防ぐ技術ではない。また、改ざんできないのはブロックチェーンで作品自体ではない。

4、NFTマーケットプレイス以外での転売にはロイヤリティはつかない。

さらには、

偽物NFTが出回っているという問題。

唯一性を証明できるというのは物理的に複製できないという意味ではありません。つまり、なりすまし詐欺は簡単に成立するということなんです。無断で盗用する人にとっては格好の漁場ということになります。わかってない人が多いので釣り放題。なりすましに対して適切な罰則がまだ適応されていない様です。

つまり、先行優位の儲け話の様に思われても仕方がない、そして同時に無法地帯でもあります。そこが面白みでもありますが、悪質な人にとってはうま味にもなり、何もわからず飛び込んでしまうのは注意が必要です。

問題はいくつもあるし、皆さんよくわからない段階で「儲かる」と思ってるだけで、そっちが優先するあまり作品としての本質的な価値が置き去りになっている点が一番気になります。

NFT作品に数千万円払うのに、仮にそれがリアルな1点ものだったらどうでしょう?数千万払いますか?

それって、NFTだから価値があって作品自体の価値ではないですよね?

100歩譲ってアーティストは嬉しいです。自分の作品が評価されたのだから。。。
作品が自体が評価されたのか?NFTだからではないでしょうか?

例えば、これがわかりやすい例です。

東証一部上場のGMOインターネットグループが運営するNFTマーケットプレイス「Adam」で坂本龍一さんの楽曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」を595音に分割してNFTにして1音10,000 円で1次販売。2次販売では高騰し再販価格1000万円になっています。


NFTで1万円で買った1音を1000万円で転売しようが買った人の自由です。買われる事がなくても自分にとって価値があるという表明にも取れますが「価値」と「意味」は見る人が決めるのでNFTバブル=単なる投機の様にも見えても仕方ありません。

売上のロイヤリティー分配は
坂本龍一 50%
株式会社幻冬舎 25%
エイベックス・エンタテインメント株式会社 25%

坂本氏の売上はマネジメント手数料を引いた本人受領分の全額を、以下の団体へ等しい料率で寄付するそうです。

国境なき医師団

ペシャワール会

グリーンピース ジャパン

結局のところアートが株とか投資、つまり資本主義の餌になっているという事なのではないかと思うのです。

坂本さんの1音を1万円で買うことに私は芸術的価値を見出せない。しっかり音楽として聞いた方が感動するのは間違いない。それが100%チャリティーなら別として、1音数十万から数千万となるのはNFTバブルに乗っかった儲け話としか思えないですよね。

少なくとも595万円の売上と、すでに多くの転売が始まっていて、その転売ロイヤリティーを含めるとかなりの額になります。単純にGMOはプロモーションとして利用し、幻冬社、エイベックスは25%づつの利益となる。この構造はアートプロジェクトなのか投機案件なのか。。。

もうひとつ気になるのがNFTはブロックチェーン技術を活用しているため、膨大なエネルギーを消費すると言われています。イーロン・マスクが「ビットコインのマイニング(採掘)と取引のために化石燃料、特に石炭の利用が急増する状況を懸念している」という理由でビットコイン決済によるテスラ車の購入を停止を表明、ツイート後にビットコインは約2000ドル下落しました。

また、BTSの所属事務所がNFT事業に進出するにあたり一部のBTSファンが「環境親和を強調してきたBTSの考えとも合わない」と反対しています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9bff73d2fb3392c7cbfd649dfe92cbdaf56c1fc2

こういった背景もあってか坂本龍一氏のプロジェクトは、この環境問題に対し

「今回のプロジェクトのプロセスで排出する/したと推定されるCO2は、1次販売終了後に速やかに算出し、more trees および ブルードットグリーン株式会社が手がけるプロジェクトによって相殺(オフセット)します」

としている。これは芸術活動に伴う環境問題への配慮とも言えますが、坂本氏のマネージメント、幻冬社、エイベックスの利益のためにCO2が排出されたことには違いないわけです。実際はこのプロジェクトのCO2排出量がいかなるものかはわかりませんが、それだけ気にするなら企画自体を「問う」必要もあるのかと思います。

ブロックチェーンの思想的背景は国家や企業の中央集権や既得権益による権威主義から脱却して、個人主体のつながりによる分散型の信用システムを実現するテクノロジーであることが思想的な背景だと思っています。この思想自体、ポスト資本主義とテクノロジーの重要な関係だと思っていたのですがNFTバブルは見事にアートも引き込んでザ資本主義してますね。

この本質的な期待値(思想)をNFTアートに置き換えると作品の本当の価値と評価を信用によるシステムを通じて芸術家へのインセンティブに還元できると感じているのですが、まだまだ時間がかかりそうです。

このバブルを冷静に見てアートの本質とは何か?を問う良い機会だと思っています。

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柴田”shiba”雄一郎 Edit profile

1966年生まれ、日本大学芸術学部 演劇学科卒業。
アート×デザイン思考講師/ トヨタ自動車から内閣府まで新規事業開発専門のフリーエージェントを経て公益代理店 一般社団法人i-baを設立。熊本大学「地方創生とSDGs」/京都芸術大学「縄文からAIまでのアート思考」非常勤講師。地域デザイン学会 参与。FreedomSunset@江ノ島主催。DJ/トランペッター。逗子アートフェスティバル2017・2020プロデューサー。www.street-academy.com/steachers/95580

https://www.businessinsider.jp/post-247180#cxrecs_s

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