ロダンと同じようなことを言う彫刻家やアーティストの方はよくいるように思います。
もう一昨年になりますが(パンデミックが始まってから時が止まっている気がします)、友人の小林沙羅さんが、マンガ「ガラスの仮面」をオペラ化した「紅天女」で、阿古夜 / 紅天女役を務めるので、ぜひ見にきてねと、とてもいい席を用意してくれたので、見に行きました。
その時に、予習として、出ているガラスの仮面を全部読み直し、平安末期から鎌倉時代に活躍した仏師運慶についてもなぜかたくさん読みました。
運慶について、夏目漱石は「夢十夜」の中で、「仁王の眉や鼻を鑿で作るのではない。眉や鼻が木のなかに埋まっているのを、鑿と槌の力で彫りだす」と書いていました。このくだりを読み、イタリア留学中に読んだウォルター・ベイター「ルネッサンス」に、「大理石の塊のなかに像が内包されている。彫刻家は、それを発見する。大理石のなかに天使が見える。天使を自由にさせてあげるように彫る」とミケランジェロについて書いていたことを思い出しました。
それを「見る」のにいったいどんな思考をしているのだろうか?
ただただ見ていても見えてはこないけれど、見えてくるようになるために「何か」をしているのではないかと思うのです。アート思考研究会で、芸大出身の先生やアーティストをお招きしてお話していただいているのは、彼らの頭の中をのぞいてみたい。そんな気持ちもあります。
2022年3月の定例研究会には、「美術を通して変貌する思考空間~藝大入学までのプロセスから入学後の展開」というテーマで、東京藝大出身で、画家の長橋先生をお招きしての研究会を行います。
アーティストの思考プロセスにご興味のある方は是非お越しください。
戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。