これはSDGsですと言うことで商業的にも優位とされるこの時代では、手作り品が大量生産品よりも価値が高いものとして受け入れられています。
多くの地域で手作り品を販売するクラフト市や、途絶えてしまいそうな手工芸品を大切にする意識が、いまや日本中で見られます。
この手仕事と大量生産を二項対立として捉え、手仕事の復活を主張する概念は、今の時代だから起こった訳ではなく、ご存知のようにイギリスの産業革命以降にウィリアム・モリスが提唱した「アーツ・アンド・クラフト運動」(1834年〜1896年)までさかのぼることができます。
おおよそ、手仕事が善であり、大量生産が悪とされる価値観がいつの時代も強いように思えます。
そんな中で、大量生産品を賛美する芸術運動が起こりました。
それが、アンディ・ウォーホルがはじめたと言われている「ポップアート」です。
アート作品の中に感じとられる高尚な精神性や壮大なストーリーなど無意味であり、世の中に溢れている大量生産された工業製品を使い、大量生産できる方法で作品づくりをはじめたアンディ・ウォーホルは、大量生産こそ美であり、アートも消費されるものだと考えていました。
行き過ぎた大量生産は環境を破壊しますが、大量生産が可能となり、人の生活は限りなく向上しています。一概に大量生産が悪とは言い切れないこともわかります。
私も一人のクリエイターとしてデザインの仕事をしています。
そして、いつも自分自身のオリジナリティは何なのかを自問しながら創作をしていますが、なかなかオリジナリティのある表現をすることは難しく落ち込むことも多いのです。
このアンディ・ウォーホルの大量生産を賛美するアートがあまりにもオリジナリティがあり過ぎて、アンディ・ウォーホルの偉大さにあらためて気づかさせるのでした。
静岡県沼津市生まれ
武蔵美術大学 空間演出デザイン卒業
大学卒業後、3年間、世界各地で働きながらバックパッカー生活を送る。
放浪中に、多様な価値観に触れ、本格的にデザインの世界に入るきっかけとなる。
2008年株式会社カラーコード設立。
デザイン制作をするかたわら、ふつうの人のためのデザイン講座、企業研修の講師を務める。
現在は、京都芸術大学准教授として教鞭ととりつつ、アート思考を活かしたデザインコンサルティングをおこなう。