

今月の言葉は、詩人 金子みすゞさんの詩からご紹介します。
私は、金子みすゞさんの詩に、中田喜直先生が曲をつけた歌曲集「ほしとたんぽぽ」をよく演奏します。
この「ほしとたんぽぽ」の歌曲集からよくアート思考の講演で演奏しお話しているのが、今回紹介する「星とたんぽぽ」です。
この詩は、「青いお空のそこふかく」で始まります。
なぜ、空ではなく、「お空」なのか?
今回、引用した「見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。」は、誰の目に見えぬのか?
なぜここは2文字くらい下げて書いているのか?
「見えるけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ」は、この歌では、昼の星とたんぽぽの根を指しているけれど、この世の中に、そういうものは他に何があるんだろうか?
1回目の「見えるけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ」と2回目のそれは、どう変えて(変えないで)歌うのか
など、歌を歌い始める前に、詩の意味を考えて、それをどうやって歌で表現したらもっとも作者である金子みすゞさんの想いに近づくことができるのかを考えます。
そして、自分が考えた通りに演奏できるまで練習を重ねて本番を迎えています。
本番でお客様の反応を見て、次の演奏で表現を変えることもあります。
こうして、私が歌う「ほしとたんぽぽ」ができあがっていくのです。
私の演奏は、形には残らないけれども、私が自分の頭の中でイメージしているものの何割かはお客様に届いていると思います。自分がイメージできなければ、お客様にもそれは伝わりません。
私もまた、見えぬものを届けようとしていて、見えぬものでもあるのです。

戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。