私は、10代・20代でいくつかのテクノロジーや事業を友人や同僚たちと生み出してきましたが、どれも思いつきベースで作ったものでした。大きく成功したものもあれば、2か月で撤退を余儀なくされたものなど、結果はさまざまでした。シリアルに、次々と事業を生み出せるようになったのは、GE Internationalで事業開発を担当したからです。
GEは、発明王であるトーマス・エジソンが作った会社で、私がGEに入社したのは創業から125年が経っていましたが、エジソンの話は社内で語り継がれていました。そして、それらを聞き、実践することで、大企業における事業開発を学んでいきました。社内・社外にある無数の種から会社の次の成長を作る事業を生み出す。「有からNEWを創り出すのが事業開発だ」と学んだのでした。
1月は、GE時代に私がエジソンから学んだことを、彼の名言(quote)とともにご紹介したいと思います。
GE Internationalで事業開発を担当することになり、最初に驚いたのが、1年間で事業開発で作り出すターゲット売上が決まっていたことでした。上場企業での新規事業開発の成功率は5%程度と言われています。
当たるも八卦当たらぬも八卦。
そんな悠長なことは言ってられないのは、その売上高のターゲットの数字からわかります。
達成できなければ会社から去るだけなのですから。
どうやってみんなそれをやっているのだろうか?
社内リサーチを始めた時に、先輩から言われたのが、エジソンのこの言葉でした。
すばらしいアイデアを得たいのならたくさんのアイデアを出すことだ
トーマス・エジソン
5%しかヒットしないなら、200本のプロジェクトを作り走らせればいい。
10本当たれば、目標額に行く。
それからは、アイデアだしに必死でした。
私は当時、金融以外のすべてのGEがやっている領域の事業開発を担当していたので、各領域のバリューチェーンを書いて、デコンストラクションできるか、オーケストレーションができるかを考えたり、違う領域と掛け合わせて新しい領域が作れないか考えたり、研究所でやっているすべてのプロジェクトのリストを入手して、未来予測から新しい事業になりそうなものはないかを考えたり……。
考えられることはすべてやってみて、200本のプロジェクトを考えだしました。
そして、ビジネスモデルを書き、フィージビリティスタディをやり、顧客を探してみる。いけてないプロジェクトなら速攻中止して、さらに新しいプロジェクトを考えて行動する。
こうすることで、シリアルに規模のある新規事業を生み出すことができるようになっていったのです。
エジソンは努力の人で有名ですが、アイデアも努力で生みだしていくのだと、GEで学んだのでした。
戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。