体の感覚を磨く

アート思考研究会の幹事で2016年ごろからディスカッションし、昨年まとめた「アート思考に必要な4つの力」。私たちは、アート思考に必要なのは次の図に書いている4つの力に大きく集約されるのではないかと考えています。

アート思考というと1の内省力について話される人が多いのですが、私たちは内省力だけでなく、探求力、洞察力、構想力を持つことが、アーティストのように0から1を生み続ける人材になると考えています。

アート思考に必要な4つの力
アート思考に必要な4つの力 (図: アート思考研究会 浅井由剛作成)

さて、これら4つの力の基礎には、いろいろなスキルがありますが、その中の1つに、いろんな刺激を情報として受け取り、感じることができる「五感の力」というものがあると私は思っています。

たとえば、職人の人が、天候に合わせて何十ミクロンの微妙なねじの加工を完璧にできたり、プロ野球のピッチャーが細かくボールをコントロールできたりするのも、この「感覚」を磨いているからです。

私がやっている音楽でも、今日の温度・湿度、ホールの大きさ、人の入り具合などから、どのくらいの音をどこまで響かせたらよいか?というのをリハーサルを通じて(あるいは本番で演奏しながら)アジャストしていきます。センサーがきちんと働いていないとアジャストはできないものです。

スポーツや絵が得意な子供は無意識に五感の感覚を磨いて働かせることができています。このように、早くから感覚を無意識に磨くには才能が必要かもしれませんが、意識することで感覚は自分で磨くことができます。

五感の感覚を意識的に磨くには、まず体の使い方を意識して変えることです。「アート思考の育て方」の連載では、「五感の感覚」を磨くために、私が取り組んでいる例をいくつかご紹介します。もちろん、これは一例にすぎません。いろんなやり方がありますので、自分なりのやり方で、五感をぜひ意識してみてください。

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