【クリエイティブ・マネジメント】

アート思考という言葉が注目を浴び始めた2018年頃からアート思考をテーマに講師やコンサル的な事をしていますが、最終的にはデザイン思考やロジカル思考がないとビジネスには全くと言って良いほどアート思考のフレームワークは機能しません。また、新規事業といっても課題解決が目的なのか?新たな価値創出なのか?課題解決のレイヤーであればデザイン思考、新たな価値創出であればアート思考の起点になりますが、多くの企業は漠然とイノベーションやら新規事業というバズワード対策で、やらなきゃ。。。状態、つまり、外発的動機であり課題解決のレイヤーから始まっています。

新規事業の開拓でよく0→1といわれていますが、これは何もないところ0から1を創発する、ということではなく、いまでにない事業=0から新しい事業=1をはじめることが新規事業です。

まずは、この定義と前提条件とに立ってあらためて個人におけるアート思考から考えていきましょう。

何度かこのブログでも書いた脳の機能(アイデア発想のモデル)について、かつては右脳と左脳という区別で創造性の右脳、論理の左脳という区別がなされていましたが、最新の脳科学では機能としてボーっとしている時のデフォルトモードネットワークと、論理的に判断する時のエグゼクティブコントロールネットワーク、そして、それを切り換えるサライアンスネットワークが右左関係なくグルグル回ってアイデア創発している事がわかってきました。つまり、アイデアをひらめくだけでなく、検証して、論理的に説明できるようにしてから表現したり、実行したりしているという事です。ひらめきだけでは形にならない。むしろ、芸術家は「自分軸」を起点に直感やひらめきの心像をそのまま表現していますが、ビジネスにおいては、そうも行きません。

アート思考のひらめきや直感をデザイン思考で顧客のニーズに叶うものになるかをプロトタイプを作り検証して、ロジカルに事業化へと組み立ててから企画に落とし込んでいきます。この全体のプロセスが重要で、その企画が新規性があればあるほど新規事業になり得る。と同時に新規性が有ればあるほど、最初は顧客に見向きもされません。

そのいい例がSONYのウォークマンです。発売当時全く売れなかったところ、ローラースケートを履いた若者がウォークマンとヘッドフォンをつけて街を走るというプロモーションをして初めて認知され爆発的な売れ行きで今日に至り、スティーブ・ジョブズもその影響を受けiPhoneが生まれます。今では当たり前の音楽を持ち歩くという行為は当初理解されなかったのです。それだけ新規事業のハードルは高いのです。

「音楽を持ち出したい!」という自分軸の内発的欲求から世に出る過程で、経営陣は経験値から顧客のニーズは無いという判断をして、とりあえずプロトタイプ作ってから出荷しますが、全然売れない。そこへ商品だけでなく新しいライフスタイルとして見せたところヒットに繋がったけケースです。この流れこそ、顧客ニーズがあるわからないけど欲しい!とひらめいたデフォルトモードが社内のエグゼクティブコントロールで一度は否定されるものの新しいライフスタイルの提案によってイノベーションに結びついたのだと思います。

つまり、個人の頭の中でも、組織でも、ひらめき(創造)を形にする時には同様に行われている思考の流れはアートだけ、デザインだけ、ロジカルだけでは成立し得ないのです。

全ての従業員がアート思考になれば錯乱状態になるでしょう。デザイン思考だけならほぼ叶えられてしまった顧客のニーズを探して行くうちにコモデティ化して差別化できなくなり、頭の硬いロジカル思考だけでは創造性が乏しすぎます。だからこそ、この3つをバランスよく瞬時に回して行く「クリエイティブ・マネジメント」が新規事業やイノベーションを産むのに必要な思考のフローなのだと思います。

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