モノゴトの本質をスケッチする

デッサンをする時、対象物を見ると同時に対象物の概念が先に先入観としては行って来ます。一眼見た時に、これは太陽、これは人、これは犬、この既成概念から描くのか、そのモノの本質から描くのか、、ものの見方によって描かれ方は変わります。

これは新規事業を生み出す創造性のプロセスにも必要なことです。当たり前のモノゴトを当たり前に見るだけではそこに発見や新しい発想は生まれません。既成概念を変えるモノの見方ということはどういうことでしょう。単純な話で言えば、これは円にしか見えませんが、横から見れば円錐だとわかります。

デッサンという行為は対象物に対する観察能力だと思ってください。この視点や認知は絵を描くことに限らず日常で常に行っている事で視覚で対象物を捉え、脳が自分の記憶にある情報から紐付けて認知します。この工程をより深くして、そこに疑問を持つ事は日常的には無駄な時間の様に思います。日常生活でいちいち、それはなぜ?これはなに?を問い続ける事が許されるのは幼少期だけです。

ちなみに、エジソンは小学校に入学すると先生を質問攻めにしたそうです。

1+1はなぜ2なのか?

そんな質問を絶えずするため、授業の妨げになるという理由で3ヶ月で退学になったそうです。

実はその無駄な様に思われる思考=「問い」こそ創造性と深く結びついていると私は思います。上の図をみて「丸」で片付けてしまうか、ちょっと待てよ、、、と横から覗いてみると、実は円錐です。

まずは、モノの見え方に疑問をもつ、その後で自分軸のフィルターで見てみると必ずしも顔が顔である必要はない。「顔」という既成概念を取り払うとこうなります。

パブロ・ピカソ『泣く女』

実は「顔」をこの様に表現する様になった背景にはカメラの発明があるそうです。

それまで画家は人物を忠実に写実的に描くことがよしとされてきました。ところがカメラの出現で写実的な表現の価値が落ちてしまったのです。写真の様に描くことに価値がなくなった時、芸術家は自由に表現を始めました。それがキュビズムです。

この写実絵画>カメラの登場>キュビズムの発見の流れは。AIの急速な発展と機械による自動化に置き換えることができます。人が描く絵画が写真にとって変わった様に人の仕事の多くはAIや機械がこなす時代になりました。これは機械労働からの解放で、私たちはAIの登場で次なる創造的な表現を生み出す機会を与えら得ているということかもしれません。

既成概念を疑い、唯一無二の自分なりの見方で世界を再構築する行為が芸術家の行為であるとすれば、既成の商品やサービスを疑い、自分だったらこうしたい、という思い(自分軸)を形にした時、それが今までにないモノでそれを使う事で社会や人の心が豊かになるとしたら、それは人々から求められるモノ、もしかしたらイノベーションになるかもしれません。

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