新しい曲を練習するとき、譜読みの時から、「この曲はどんな風に演奏するのか?」を1小節ごとに考えながら読み、そして練習をするようになったのは、小学校高学年の時。
先生に「なんとなく曲を弾かないで!」と怒られたのがきっかけでした。
緻密に曲を作り上げていくことに、どんどん磨きがかけられるようになっていったのは、コンサートに出始めた14歳の頃からです。
以前お話したパイプオルガンの先生から学んだことも大きかったですし、なによりも、自分がきちんと理解し、作りこんでいったところと、なんとなく演奏しているところに対して、お客様の反応の違いが見えたのです。
さて、同じことがビジネスにもいえると思います。
私が新規事業を立ち上げる際に、非常に意識しているポイントが、作りこむところと作りこまないところを明確にわけるということです。なぜこの事業を作るのか、どんな人たちが使うのか。その点に関しては、緻密に作りこんでいきます。自分たちがなぜやるのかが明確になっていなければ、次々と出会うハードルを乗り越えてはいけないし、誰が使うのかがちゃんとわかっていないと、立ち上げたはいいけれど、誰にも当たらず売上を作ることができないからです。
しかし、それ以外のところ、例えば、ビジネスモデルはシンプルなもので、誰にでもわかりやすいものにすることを意識していて、無理に作りこみすぎないようにしています。理由は、理解しにくいビジネスモデルのものは、なかなか買ってもらえないからです。
徹底的に緻密に作り上げるところ、それ以外のところ。メリハリも大事だと思います。
戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。