ダイバーシティの問題が議論されるときに、必ず出てくるのが、異質な才能や知識、スキルを持つ多様性あるメンバーがいる組織の方が創造的な成果をあげやすいという話です。
とはいえ、多様なメンバーをそろえればいいというわけではなく、創造的摩擦が起きるような仕組みも不可欠です。
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューの『創造性を導くリーダーシップ、その源泉を解き明かす』では、イノベーションの創出に向けて、次の3つの発見主導型の仕組が必要だとしています。
対話や議論を通じてアイデアを生み出す「創造的摩擦」、迅速に対応して実験的に進める「創造的敏捷性」、そして、ときに正反対のアイデアをも組み合わせる意思決定の能力である「創造的決断」が必要である
ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューの『創造性を導くリーダーシップ、その源泉を解き明かす』
集団創造マネジメントの方法論は、研究が進んでおり、ハーバード・ビジネススクール名誉教授のドロシー・レナードとタフツ大心理学部名誉教授のウォルター・スワップによる『創造の火花が飛ぶとき』にも詳しく書かれています。
この本が面白いと私が思ったのは、個々のメンバーが創造的でなくても、どのグループよりも創造的になることができるという信念から研究をスタートしたという点です。
グループの創造性のプロセスには、一連の段階を通じて管理する必要があり、いずれかの段階を怠るとプロセスが深刻に阻害されるということを主張しています。条件が正しければ、誰もがグループの創造性に貢献できるけれども、条件が正しくなければ、個人の創造性は破壊されるか、抑制される可能性があるということを指摘しており、単に多様なメンバーが集まれば、創造性の火花が生まれるわけではないということがわかります。
創造性は学習可能なプロセスであるということを説いている点も、非常に共感が持てました。
戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。