今月は、私がGE Internationalで事業開発を担当していた時に、GEの創業者で、発明王と呼ばれたトーマス・エジソンから学んだことをご紹介しています。
発明のためには、優れた想像力とがらくたの山が必要だ
トーマス・エジソン
私のオフィスも自宅の書斎も、以前はキレイに片付けていたのですが、GEで金融以外すべての事業の事業開発を担当していた時に、片付ける暇がなくなり、エネルギー、ヘルスケア、バイオ、照明、エンターテイメント……所せましに、いろいろな資料が散らばっていました。
部屋を片付けなさいと上司から何か言われるかなぁと思ったこともあったのですが、彼がオフィスにやってきたときに部屋をちらっと見て、「To invent, you need a good imagination and a pile of junk.」と言ったのです。
確かに、いろいろなものが散らばっているオフィスの中で、ふとこれとこれって組み合わせたらすごいものができるなぁと思いつくこともよくありました。フィージビリティスタディまで試してみてもダメだった時に、それをそのまま放置して、次のプロジェクトに進んでみると、「あぁ!!!これ、こうすればあのフィージビリティスタディがうまくいくかも!」とひらめくことも。他の人から見たらがらくたかもしれませんが、自分の頭の中をきちんと通っていったものは、がらくたのままも多いけれど、他に活かされることもあるなぁと思ったのでした。
だから部屋を片付けない……という言い訳にはならないんですが(笑)
私には、5歳の子どもがいます。彼女が一見私たちにはガラクタに見えるようなモノをたくさんたくさん作ります。でも、エジソンの「発明のためには、優れた想像力とがらくたの山が必要だ」という言葉を思い出しながら、彼女の想像力・創造力の芽をつぶさないように、そっとしておいています。
アート思考を育てるのは、このようなごちゃごちゃもオッケーとする環境も大切ではないかなぁと思っています。
戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。