早稲田大学日本橋キャンパス WASEDA NEOで開催されている『13歳からのアート思考』の著者、末永幸歩さんが講師をつとめる、「自分だけの答えを見つける「アート思考」体験講座」に参加しています。。
全6回のコースで、2020年9月10日からスタートしたものを、6回に渡り、体験記としてレポートしています。今回は6回目の最終回です。次回からは、リアルクラス「手を使って「アート思考」する6日間の実践講座」となります。
講座の概要
自分なりの視点で物事を捉えて、自分だけの答えをつくりだす「アート思考」を、作品鑑賞を通して身につける体験型講座
WASADA NEOウェブサイトより
アート思考とは何か。
アート思考について学びを深めるために、ミニワークやグループディスカッションを通じてインタラクティブに学ぶ講座です。
セミナーの流れ
前回の宿題「身の回りにある何か1つを表現する(絵で提出)。ただし前回セミナーで学んだ”心の目/5感で捉える”を踏まえた描き方で」を、まずグループ内で発表&グループメンバーから感想を受けるワークを行いました。
その後、全体に戻り、末永さんが気になった絵に対して、作者から全体に対して鑑賞&説明を行いました。
そして最後に、今までのセミナーの振返りと、次に続くリアルセミナーの案内で終了となりました。
講座の感想
事前準備(宿題)
- コンセプト作り。
最初は宿題をよく理解しておらず、”表現する”を言葉だけで描いて終わりだと勘違いしてしまい、セミナーが始まるギリギリで気が付きました苦笑。
描いたのは、スマーフォン。
前回描いた絵と比較の方が”知覚で捉えると意識した後の絵の変化が分かりやすかった”のかもしれませんが、前回の絵は急に眼の前にあったコップを描いたので、思い入れがなく、コップからスマーフォンに変更。
スマーフォンを対象にしたのは、普段から身に付けているため、視覚以外で捉えた場合も、様々な体験が残っていると考えたからです。
※つまり、普段から使っていない物には、視覚情報以外は少ないと推察そして、クラスで知ったピカソのバイオリンの絵の思考プロセスを参考に、スマーフォンのイメージを再構成したコンセプトを言語化。
それは”「世界につながる窓」と「執事」”としました。言語化を終え、今度は目を閉じて、主に手触りの触覚からスマーフォンのイメージ化。
頭の中には”ツルツルした薄い感触の板”があり、言語化するとそれは”ガラス”になりました。
※ボタンは必要最小限で、アプリ起動する際も視覚情報以外なしのため。
個人的に音楽をスマホで聞かないので聴覚から強い印象は得られませんでした。
言語化したキーワード:”ガラス”をGoogleで画像検索することで、言語→視覚に戻して、私の印象に近い写真を見続けました。たくさんのガラス製品や素材が出て来たがマッチしませんでしたが、ようやくマッチしたのは”建物のガラス格子”でした。さらに格子ガラスに着目して見続けると、”ステンドグラス”でイメージが一致したため、検索を止めて、絵としての表現に切替えました。 - 作品制作(絵としてのOutput)
「世界につながる窓」をステンドグラスという素材で表現するため、世界の部分を空の写真で表現。その上に格子を描いて複数の窓に分け、窓をアプリごとに異なる感情の色で分け※、最後に薄いガラス感を出すために、3D表現でくるっと回転させました。
※スケジュール管理する時の心の色、音楽を聴く時の色、SNSやチャットで友人とコミュニケーションの色は異なるため完成した作品を見ると、(他人はもちろんのこと)自分でも作る前からは想像できないスマーフォンが出来たなーと驚きました。
グループワーク
グループ内でお互の作品を発表しましたが、私のグループで面白かったのは「電卓を表現した作品」でした。
前回の絵は電卓をそのまま描いて分かりやすかったのですが、今回は「0をベースとした万華鏡のような格子」で描いて来たので、作者の解説がないと、全く分からない絵になっていました。
作者のコンセプト「電卓の始まりはいつも0。そして0は何回掛けても0になるのを表現した」を聞いた時、分かりやすい電卓の絵よりも、深く作者の心を理解できたような気持ちになりました。
(と同時に解説を聞く前の自分の理解との対比も意識するように)グループワークで、心の目で抽象的な絵を見るのは面白かったのですが、この時間が短かったため、なぜこのような表現になったのか?まではシェアする時間がなかったのが惜しかったです。
※そこに至る思考プロセスをシェアしてもらう時間こそ、私が求めている”思考プロセスの追体験”かも?と、後で気が付きました。
全体とまとめ
全体発表で他のグループの作品もシェアされましたが、やはりデッサンのように視覚で見たままを表現しようとした前回とは異なっていて、とても面白い鑑賞会になりました。
個人的には口の中に文字を入れた作品が面白く、文字からさらに作品では描かれていない別のイメージを想起させるキーワードにもなりそうだと感じました。
その後、今までの全6回を振返り、色メガネの”意識、付替え、創造(特に視覚以外の感覚を使って)”を切替えて、自分だけの視点・答えを得るためのトレーニング、作品とやりとりする「アウトプット鑑賞」や、作品が出てきた思考プロセスの探索「タネ/根/花/わたげ」、視覚+αの視点を得るための「(視覚以外のの)心の目で見たイメージ再構成」の解説を末永さんが行いました。
そして最後、このZoomクラスの後編として、リアルな教室で行う【手を使って「アート思考」する6日間の実践講座】が紹介されて終了となりました。
受講を完了した感想
アート思考体験講座として、純粋に楽しめました。
1番大きかったのは、アートの定義を美術史の移り変わりと共に説明してくれたことかなぁと。
アートは「世間一般のイメージとして、アート≒何でもあり。よくわからないもの」という受取られており、アートの定義を省略※して思考プロセスだけをワークショップで体験しても、納得感が薄かっただろうなぁと感じました。
それを行うには、長期&連続的なクラスである必要があり、講座を開講する条件として末永さんがこだわったのも、良くわかりました。
※宗教画や静物画の鑑賞ワークショップと何が違うのか?
また個人的には、子供の世話を同時にしながら(乱入されながら苦笑)、クラスを受けるのが大変でした。
ちょうど朝の時間が保育園へ登園させる時間と被り、朝起こして、ご飯を食べさせ、着替えさせ、登園準備を終わらせてからクラスに参加していたので。
Zoomでなくリアルクラスならば、強制的に空間が別になりますが、空間が同じだと平行できないこともないので苦笑。
とは言え、Zoomクラスになったおかげで参加できる/できないの2択ではなく、普段では会うことがない様々な条件の人達とワークショップで出会えたのが楽しかったです。
SAS Institute Japan Ltd.
APAC マーケティングサイエンスチーム / データアナリスト
(以前はコンサルタント/データサイエンティストとして主に銀行でプロジェクトをしていました)
- 研究会への参加動機
- データ分析と対極に言われるデザイン思考/アート思考に興味を持ち、複数の本とセミナーに参加
- その後、現在の抽象的な思考のコミュニケーションが文字や対面の会話でしか行えないことが、ミスコミュニケーションの原因になっていると考え始める
- XRで伝えたい体験自体を共有するコミュニケーションができれば解決できるのではないかか?と妄想し、XR仮想体験空間構築の準備として、実空間の構築を学ぶために、京都造形芸術大学の空間演出デザイン学科(通信)で子育て/大学生/仕事と3足の草鞋で学び始める