2022年7月16日に開催した定例研究会「アートと社会のつなぎ方ーインクルーシブアーツってなんだろう?」のレポートです。
今回は、インクルーシブを考え、日本語字幕をつける方法で研究会を開催しました。初めての挑戦でしたが、2時間の講義・ディスカッションを無事に字幕を出してお届けできたことから、次回以降も同じように日本語字幕をつけていく予定です。
明治大学の阪井和男先生の授業で使われているアンケートフォーマットを使用し、参加者の皆様のご感想を収集しています。今回ご紹介するのは、掲載許可のあった方から、事務局で数名選んで掲載しております。
3つの質問
1:[事実としての根拠]得られた新しい知識 ※今回知ったことをまとめます。聞いた言葉を使って「根拠」を明示してください。
2:[自己の振返り]浮かび上がってきた課題 ※自分ごととして「振返り」ます。浮かび上がってきた自分の課題を書いてください。
3:自由記述欄です。ご自由にご記入ください。
- “個人に特化したものが一番ユニバーサルになる可能性を秘めている” 「一人のために開発したものを万人が楽しめるものにする、という流れがインクルーシブアーツには必要なんです。不思議なもので、幅広い人のために作ったものは誰のためにもならないんですよ。一人の女の子のために突き詰めて作ったものが、ある日突然ユニバーサル楽器になる。これは“個人に特化したものが一番ユニバーサルになる可能性を秘めている”という、私たちの研究開発が最も理想とする形でした」 これは、とても説得的でした。アブ・ハチ取らず、八方美人、器用貧乏などに通ずる言葉だと思います。一人を愛せない者は万人も愛せない。というところでしょうか。
- 自分を深めながら、社会的課題を探り、その解決を考えて行く。 この場合、自分のしたいこと、目指すことを十分に把握していないときは、 考えるより行動かな。と思いました。 習うより慣れろ。やってみれば何とかなる。その中で実際に人や社会が必要としていること、人が喜んでくれること、評価してくれることなどが分かるのだろう。と。 社会的価値は、またその中で沢山の目、価値観に触れることで見えてくると思います。
- 今まで教育、音楽では、インプットがアウトプットにリニアに繋がらない。と思っていましたが、すべてのものサービスがコモディティ化していくと、結局、「顧客」にとって、すべてのものがパーソナライズされていく流れにあるのかなと思いました。 ただ、AIなどで勝手に推測されるのも何だかなぁ。と思っています。
(小坂丞治)
- 音楽・演奏の領域にテクノロジーを使って新しい意味を付与されたことに感動しました。
- 相手の立場にたって、共感しながらテクノロジーを手段として「新しい価値・意味の創造」することの重要性を再認識しました。この「新しい価値・意味の創造」はまさにイノベーションであり、都合よく使われすぎてその意味を勘違いされつつある今だからこそ「新しい意味・価値」とは何なのかを再認識するきっかけになりました。
- 私も何か別の形でテクノロジーとアートの融和を目指したいと思います!
(日本電通株式会社 小片 隆久)
- Precision Medicineという医療の考え方を初めて知りました。ぜひ、教育、特別教育、芸術文化、労働などさまざまなシーンに取り入れていけると良いと思いました。
- 聴こえる人の文化の中にある音楽と、聴こえない/聴こえにくい人の文化の中にある音楽をそれぞれに尊重し合う環境をどのようにつくっていけるか、という課題について常に考えていますが、一人一人のナラティブアプローチが大事だということを改めて感じました。
- 本日は初めて参加させていただきました。聴覚障害があり、自分でUDトークを使って聴講しようかなと思っていたので、字幕をつけていただいて本当にありがたかったです。 音楽は一人ひとりのもの、パーソナリティを尊重して成り立つものであるという考え方にとても賛同します。(Sasa/Marie)
- 最後に話をしていたテクノロジーが人の喜びやできなかったことを支援することで、心が豊かになることを再認識できたことが、とても良いと思いました。 わかりづらいことをわかりやすく伝える。どう体験してもらうと感動を作れるのか。とても興味があるお話でした。
- 自分なりに自分の音楽活動に置いて、どのようにふぁんを作っていくのか。経済活動につなげていくのか。とても考えさせられています。
- 視点を変えることの喜び、面白さの中で、3Dの映像で、視点とズームをリスナーが自由にできる映像は絶対楽しいと確信しました。実際、ボストンシンフォニーに通って、ピットの上から、あ、今コントラバス、オクターブユニゾン!!とか学生時代は、盛り上がっていたのですが、目が2つしかなかったので、その時バイオリンは?とか色々見落としがあったと思うのです。1つの視点というコンセプトだけでも本当にいろんなアイディアが湧く。じぶんの企画もそういう意味で、本当に当たり前と感じているコンセプトを一つ変えてみると、どうなるのか、一考してみたいと思いました。(中村ももえ)