【アート思考とティール組織】

VUCAと呼ばれる正解が見えない時代に個人の創造性に注目が集まっています。同時に今までの組織、マネージメントにも改革が必要になってきています。

そんな中、2018年に出版された「ティール組織」(フレデリック・ラルー著書)はビジネス書としてはかなりの厚みがあり600ページのボリュームにもかかわらず、世界17カ国・60万部を突破し、国内でも「ビジネス書大賞2019」経営者賞を受賞、10万部を超え、注目を集めました。

「ティール組織」――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 by フレデリック・ラルー 

歴史の変遷とともに進化する組織の段階を色で表現し、最新の進化型組織を、変化の激しい時代における生命体型組織として、自主経営(セルフ・マネジメント)、全体性(ホールネス)、存在目的の3つを重視するティール組織と表現しています。

今までの様なヒエラルキーのある組織構造とは違い、上下関係もなし、売上目標も、予算もなし。つまり、管理する、管理されるということがなく、組織を構成する一人一人が組織と同じ目的、使命をもった生命体の様な組織であるといいます。

端的に言えば、全員が組織の目的や使命を「自分ごと」化していないといけません。そういった意味でもティール組織は日本の一般企業に実装するのはかなりハードルが高いでしょう。自立分散型の組織や、透明性をコーポレートカルチャーに根付かせるには根本的な組織改革を行う必要があります。

組織論を語る前に、従業員と経営者それぞれが自立していることがティール組織の前提条件といっても過言ではありません。

企業における個人の自立、つまり、一人一人が企業の目的やビジョンや価値を「自分ごと」にしていることが大前提といえます。主体的に思考して行動する自己肯定感であったり、内発的動機、そして、創造的で協調性を持った人才(talent)が必要になります。そんな人才が集まれば、自ずとプロジェクトが自己組織化され持続可能なティール組織が生まれるのではないかと思います。むしろ、ティール組織は開発されるものではなく自己組織化するべきモノであることが前提となります。となると、最大の課題は組織開発の前に人才開発です。

指示で動くのではなく個々が自立して意思決定ができる。社員それぞれが尊重されて創造的なプロジェクトを生み出し実行するできる。理想ではあるが、実現できるだろうか?特に日本の企業ではかなりハードルが高いはずです。

ティール組織的人材の育成にはアート思考が大変役に立つと私は考えます。

アート思考の基本は自分発信「自分軸」つまりは究極の「自分ごと」です。社会の課題や人間の本質的な欲求や苦悩、愛を探求し、そこに対し自分なりの表現をする。内面的な表現としての単なるエゴではなく、全体性や他社の尊重の上に成り立った自己肯定の高い自立した個人がティール組織を構成する人才として必要になるからです。

自分自身の自己実現と組織の目的が一致すること、そのために全体を見ながら自立的に行動すること、それができて初めてティール組織が機能し、そこにイノベーションを生む環境が育ちます。

アート思考を実践していくことでわかってきたのが、まずはそれぞれが潜在的に持っている創造性に気がつくことで自己肯定感が生まれます。次に想像力(妄想力)を肯定する環境を作ることによって心理的安全性が生まれてきます。その環境によって自立性と、そもそも持ていた創造性を活用し、創造的で自立して、全体を見ながら、組織と個人の目的を実現する集団、つまりティール組織が生まれるのだと思います。。

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