創造力の源の1つに、しつこく続けるというのがあります。
しつこく続けるには、続けるところまでもっていかなければいけないのですが、この続けるところまでもっていくのが難しい。
新年の抱負は、2月までに80%が続かなくなるそうです。
私の数少ない特技の1つに、「新しいことを始め、そして続けること」というのがあります。
今年のはじめ、5つの抱負を立てたのですが、2月24日の時点で、継続率は99%。1日5つのことをやるのですが、1つお休みしてしまいまして、99%になってしまいました。この日喘息の大発作を起こして救急受診しており、その日はある1つのことが物理的にできなかったのです。
といっても、このスキルは、小さいころからできたわけでなく、中学のころ、先生からやり方を教えてもらい、それを先生にいわれた通りにしつこく続けているため、精度があがったのです。振り返ってみると、中学生のときにそれを身につけてよかったなぁと思っています。
ポイントは5つ
- 具体的に
- 小さく始める
- 自分に厳しくしすぎない
- やめるポイントをあらかじめ設定
- 続けられなかったときに立て直すタイミングを決める
やることを具体的に決める
例えば、健康な生活をするというのを目標にしてしまうと、「健康な生活を毎日したかどうか」を毎日同じ基準で測るのが難しく、具体的にやることが見えないと、続けにくいです。
毎日15分歩く、毎日10分瞑想する、など、具体的な行動に落とすことで、今日は15分歩いたのでOK! となります。
20代のころ、ロジカル思考を身につけたくて、通勤電車の中でロジックツリーを作るというのをやっていたことがあるのですが、通勤電車の中という具体的な日常の行動に落としたことが続けられたポイントでした。電車を降りる時には、ツリーが出来上がっていようがいまいがおしまいしていました。
私は毎日掲げた目標ができているかどうかをハビットトラッカーを使ってチェックしています。進捗度合いが目で見えるので、やる気がわきます。
小さく始める
中学のころ、表現豊かな演奏ができずに悩んでいたのですが、先生から表現力を身につけたいという大きな目標に対して、毎日1時間表現力を身につける練習をするというのではなく、生活の中で簡単に始められることをしないと、長続きしないと言われました。
そして先生と相談して始めたのが、「嬉しい!」と思った瞬間を毎日手帳にメモするということでした。生徒手帳は必ず制服のポケットに入っているので、嬉しい!と思った瞬間をその手帳に書き込むだけ。わずか30秒。
テストでいい点がとれた。嬉しい!
無くしたと思っていた髪飾りが出てきた。嬉しい!
レッスンでミスタッチなく弾けたのを褒められた。嬉しい!
こうやって嬉しいという気持ちだけを書き綴ること3か月。演奏で嬉しく弾きたいときは、その時の気持ちを思い出して音に込めることができるようになっていきました。嬉しいの後は、悲しい、むかつく、怒り、あきれた、など、さまざまな感情を1年間手帳に綴っていきました。
先ほど紹介したロジックツリーを書くというのも、通勤電車には週5、行き帰りで乗るので、日々の生活の中に取り込むことができました。
大きな努力をしなくても日常生活に組み込めるほど小さく始める。わざわざやるために1時間早起きなどしなくていいので、組み込みやすく、続けられるようになります。
自分に厳しくしすぎない
常に100%できていなくてもいい。
必ず結果を出さなくてもいい。
やってみることで見えることがある。
効果がなければ、他の方法に変えればいい。
そう緩く考える方が、物事を長くやりつづけられるよと先生にいわれた言葉を愚直に信じてきました。
歯磨きだって基本毎日するけれど、具合悪いときは、早く寝たほうがいい場合もあるでしょう? 毎日メイクを落として寝なさいと言われているけれど(注:私の母校は中学生でもメイクをしていました)、疲れたらそのまま寝ちゃって翌朝顔をちゃんと洗うでしょう? それと同じに考えればいいのよ、とも言われました。
風邪をひいてできなくっても、その間は仕方ない。元気になれば再開すればいい。結果が出なかったら、やり方が悪かったのかもしれないので、変えてみよう。1日、たとえ、1週間できなくっても、自分に×をつけない。
緩く考えるのが大切。
やめるポイントをあらかじめ設定
先が見えないと、人は続けることができないそうです。
ここまで達成したらやめる。(あるいは見直す)
そのポイント設定をあらかじめしておきます。
6週間がんばると期間で区切る場合もあれば、体重が3キロ減ったらという達成目標で切る場合もあれば、これができるようになったらというスキルを習得したタイミングで区切る場合もあります。
ゴールがはっきり見えていたら、ゴールにフォーカスして続けることができるからです。
続けられなかったときに、立て直すタイミングを決める
とはいっても、理由はいろいろとあって、続けられないときもあります。
そのときは、立て直すタイミングをあらかじめ決めておき、そこで立て直しを図ります。
たとえば、新年の抱負を立て直すタイミングは、2月です。理由は2月までに80%が続かなくなっているのが分かっているからです。私は、毎年2月11日の建国記念日に、レビューのタイミングを入れています。2月11日は祝日なので、必ずお休みです。お休みの日に、「なぜ続かなかったか。作業に分解するやり方が悪かったのか。モチベーションが続かなかったということは、目的がはっきりしてなかったからか。日常生活への組み込み方が悪かったか」などをゆっくりと考えます。やり方自体は悪くなく、単に習慣化されなかっただけであれば、2月12日から心機一転、はじめます。そうでなければ、やり方を変えてアプローチしてみます。次のレビューポイントは、私の場合は4月1日のエイプリルフール。新学期が始まる、新しい期が始まるなど、ここも新年と同じように、カレンダーの切り替わりのタイミングだからです。
あらかじめポイントを決めておけば、1年ずっとさぼっちゃいましたということにはならず、仕切り直しができます!
そして、自分がどういうタイミングでうまくいかなくなるかのパターンも学習することができるので、より続けられる仕組みを作っていくのに反映できます。
戦略・事業開発コンサルタント、声楽家、アート思考研究会代表幹事
イリノイ大学在学中に、世界初のウェブブラウザ―であるNCSA Mosaicプロジェクトに参加後、世界初の音楽ダウンロードサービスやインターネット映画広告サービス等の数多くの新規事業を立ち上げ、インターネット・エンジニアのキャリアを重ねる。ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタント、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長を歴任。2012年に独立し、戦略・事業開発コンサルティングを行う会社Leonessaを設立。明治大学サービス創新研究所客員研究員。声楽家としても活躍し、TV朝日「題名のない音楽会」では「奇跡のハイヴォイス」と評される。国際芸術連盟専門家会員。
子どもの不登校をきっかけに、大学で心理学を学び、認定心理士、不登校支援カウンセラー、上級心理カウンセラー、Therapeutic Art Life Coachなどを取得、心のレジリエンスとアート思考の融合を模索中。
著書
- 『ミリオネーゼの仕事術【入門】』
- 『自由に働くための仕事のルール』
- 『自由に働くための出世のルール』
- 『考えながら走る』など多数。