未完を楽しむ

未完成というのは、よくなる前触れなわけです。

でも、完成っていうのはストップした感じ。

開発途上だったなら、INGがついている進行形ですよね。

(中略)

昔、美術館で並んでいる中の、ある作品を前に猪野弦一郎先生がひとこと、「これは『どうです、うまいでしょう』と言っているような絵ですね」
謙虚に、ひたすら、たどたどしくても。

そのとき、ひそかに思いました。

田村セツコ著『孤独をたのしむ本』p.66-67

この一節を読んで、昔、BCG(ボストンコンサルティンググループ)で働いていた時に、上司から、「気持ち悪いのを我慢して、そこからインサイトを見つけるんだ」というようなことを言われたことを思い出しました。

わからない、いろいろと調べる、インタビューしてみる、考えてみる、それでもわからない。そのわからない状態にどれだけ長く自分が浸かっていられるか、諦めずに考え続けることができるのかが大事だという教えでした。

誰も描いたことのないような成長戦略を作るときも、誰も起こしたことのないようなビジネスを立ち上げる時も、脳に汗かくくらい考え、動いて、結果につなげていくのですが、そのわからないぐちゃぐちゃした未完の状態を楽しめることが大事だなぁとその時に学んだのでした。

演奏も同じく、これでいいと満足してしまうと成長がありません。

未完の状態を楽しみながら、自分の成長を促す人でありたいですね。

関連記事

  1. 共感を深く理解するために、私自身が物語にならなければいけないのです

  2. できると思えばできる、できないと思えばできない。

  3. すべての子どもは生まれながらにしてアーティストだ。問題は、大人になって…

  4. 芸術家はたくさん仕事をするためには、時には描かずにいる必要がある

  5. 今もなお、最も勇気のいる行動とは、自分の頭で考え続けること。そしてそれ…

  6. 発明と発見の歴史から学んだことが一つあるとすれば、それは、長い目で見れ…

  7. しかし、世界に新しい創造などない。あるのはただ発見である。

  8. 創造は人というメディアによって絶え間なく続く。

2025年10月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

入会案内

ご入会手続きはこちらから

献本について

献本をご希望の方はこちらへ

Archive

アート思考関連記事のツイート