NFTについては、ここ1年くらい構想と共に静観していました。
75億円という高値でNFT作品が流通したことからNFTが注目を浴び始め、坂本龍一さんのピアノ1音10,000円が1000万円で転売されたり、いくつかのNFTのリアル展覧会にも行きましたが、当然作品はモニターに映し出されている訳で、これ意味あるのかなと、、、色々と悶々とした訳です。
理由はブロックチェーンという未来の可能性と同時に、NFTはアートを食い物にしている投資家が煽っているだけだのバズワードだという思いもあって、NFTバブルに乗る気がなかったからです。NFTの唯一性と転売時に作家にもロイヤリティーが支払われるという性質上、アート作品が都合の良い商材であったということ、結果「NFTは儲かる!」という事に違和感を感じていました。
作品の良し悪し、作家の良し悪しではなく「儲かるか?儲からないか?」で売買される事実があります。「儲かるから作る」事を否定はしません。アーティストにとっては金は大切、昨日までイラスト1枚1000円がNFTにしたら1万円で売れた!と歓喜した人も多かったと思います。
一方で、売れりゃなんでもありか?アート=金?みたいな悶々とした思いを抱えていました。
そこに、ダミアン・ハーストの作品が明確な答えを出してくれた気がしてスッキリしました。
詳しくはこちらの記事を↓
https://news.yahoo.co.jp/articles/56288fe7f34745e927b4115070e33b76ff80e3af
要するに、NFT目当ての作品より金の人が半分、もう半分の人が純粋に作品として評価していることがわかります。そういうものだ。という前提で1年近く前から構想していた作品をやっとNFT化する事にしました。
https://opensea.io/SasakiKenzo
初のNFT作品は、、、、、
11月5,6,12,13,18,16,20に茅ヶ崎オケラハウスで開催される「大LUSH LIFE展」に作品展示をする事になり、私が理事をしている佐々木健蔵芸術文化財団の作品をNFTにしました。
この作品は、90年代に消息不明になった芸術思想家 佐々木健蔵の「壁先輩」という作品で、訳のわからない現代アート作品が高額で取引されている芸術に対する皮肉ともいえる作品です。人の作為がない単なる壁を切り取り額に入れるとあたかも深淵な現代アートのように見える、、、というコンセプトの作品で、佐々木はこれをアート思うかどうかは鑑賞者の問題であると言います。また、この「壁」は実際にその「位置」で見ることができるという意味(価値)が生まれます。
これはアートなのか?という「問い」と「位置」という2つの文脈から、NFTで購入すると位置情報が付与され、購入者だけが唯一作品の存在する場に行き鑑賞することができます。この時、デジタルからフィジカル(経験価値)への価値転換が起きます。
厳密に言えば、フィジカル(現物)もある時点でNFTにする必要があるのか?という疑問もありますが、そもそもデジタルデータですらスクリーンショットすれば簡単に手に入るので唯一性など保証されていませんが、、。唯一言えるとすれば転売時に私に利益が出る事くらいです。いずれにしても、その行為自体が過渡期であり、社会実験だと解釈しています。もしかすると、この手法、つまり唯一無二の位置情報をNFTで手に入れ、その場所を転売するという利用法が自体が新しい価値を生むかもしれません。本質的なNFTやブロックチェーン、WEB3はまだ先の話です。結果的にこれを読んだ何人の人がこの作品を理解し、体験することが出来るでしょう?それが現状の答えだと思います。
1966年生まれ、日本大学芸術学部 演劇学科卒業。
アート×デザイン思考講師/ トヨタ自動車から内閣府まで新規事業開発専門のフリーエージェントを経て公益代理店 一般社団法人i-baを設立。熊本大学「地方創生とSDGs」/京都芸術大学「縄文からAIまでのアート思考」非常勤講師。地域デザイン学会 参与。FreedomSunset@江ノ島主催。DJ/トランペッター。逗子アートフェスティバル2017・2020プロデューサー。
◆アート×デザイン思考入門と実践
アート思考の入門編と実践編をスキルシェアサイト「ストリートアカデミー」でZOOMによるオンライン開催をしています。
◆いつでも学べるUdemyのオンライン講座
2時間を超えるアート×デザイン思考のセミナーをオンライン学習サイトudemyに公開しました。
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