1966年生まれ、日本大学芸術学部 演劇学科卒業。
アート×デザイン思考講師/ トヨタ自動車から内閣府まで新規事業開発専門のフリーエージェントを経て公益代理店 一般社団法人i-baを設立。熊本大学「地方創生とSDGs」/京都芸術大学「縄文からAIまでのアート思考」非常勤講師。地域デザイン学会 参与。FreedomSunset@江ノ島主催。DJ/トランペッター。逗子アートフェスティバル2017・2020プロデューサー。
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昔の教科書では縄文時代をどのように扱っていたか、、、少なくとも1994年に青森県青森市で三内丸山遺跡が発見される以前は、縄文人は原始の野蛮人扱いされてきました。近年の様々な発掘や研究から、独自の文明を形成し、自然と共存した戦争やヒエラルキーのない循環社会だったという事がわかってきました。数万年かけて作られた地球の資源を食い尽くす現代人と比べどちらが野蛮でしょうか。
多くの歴史学者や経済学者等が資本主義の限界に対して、その回答を狩猟採取時代、つまり日本で言えば縄文時代に求めています。明治以降、文明という名の下に野蛮とされた原始の人々の暮らしが今注目されています。
セルジュ・ラトゥーシュの「脱成長」では、
経済成長の名の下に際限のない生産と際限のない消費、つまりはゴミの際限のない生産と行い限りある資源を食いつぶしている。そして、不平等と不正義を拡大し、偽りの豊かさを生み出し、消費者はその幻想の中で盲目的に成長を植え付けられるできた。と言います。それに対して脱成長社会は自己制御、分かち合い、贈与の精神、自立共生を基礎とする「節度ある豊かな社会」を提案しています。
現代社会が必然的に向かいはじめたシェアリングエコノミーやサーキュレーションエコノミーが縄文時代では実践されていたのです。生活に必要な分だけ狩猟で食料を得てそれを分かち合い、必要以上の付加価値を求めず、必要以上にニーズを満たす行動(労働)もない為、余暇の時間を存分に表現する時間に当てられたのではないか、生活とアートが共存し未分化であった環境下で縄文人は中世から近代への芸術以前の本質的な魂の表現を土偶や土器に残すことができたのではないか。合理性や利便性を超越した呪術的ともいえる土器の造形にその片鱗を感じます。
また、ラトゥーシュは「脱成長」の為には世界を「再魔術化」することを提案しています。再魔術化とは、まさにアートの事で、あらゆるアーティストは有用性のないモノ、無償のもの、夢の世界をうみだし「内在的超越」へと誘導する。「脱成長」は生きるためのアートであり、世界と調和して生きるためにアートと共に生きることを推奨しています。これは投資目的の資本主義の犠牲になったアートではない本質的な人間の本能と自然との調和に根ざしたアートを意味しています。生活とアートが共存し未分化であった時代のアートが「脱成長」に必要な要素だと言います。
私達が農耕社会から失いはじめた生産と所有と富と権力の構造の時代は収束に向かい、10000年続いた縄文時代が注目される背景は、テクノロジーの進歩によって社会のヒエラルキーが壊れ並列分散化の構造を作り、シェアリンクエコノミーやサーキュレーションエコノミーが普及し、地域は自立した自治経済コミュニティを作る様になるでしょう。そして、資本主義に飲み込まれたアートは生活の中に取り戻され、創造的な社会をそれぞれが自立して作る様になれたらと思います。
「脱成長」経済成長しない幸福。イノベーションは成長のためではなく、豊かな暮らしのためにある。これこそグレートリセット(※)時代に求められるイノベーションのヒントではないでしょうか。イノベーションは決して新しいことを0ー1で生み出すことではなく、過去の経験や知恵と現代を結びつけることです。そのことを日本の秘められた歴史から紐解くことは日本人としての新たなアイデンティティーになるのではないでしょうか。
※グレートリセットとは
世界経済フォーラム(WEF)が開催する通称ダボス会議の2021年のテーマ。WEFとは世界情勢の改善に取り組む国際機関であり、政治・ビジネス・社会といった各分野のリーダーたちと連携し、目標達成のために取り組むための会議。
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柴田”shiba”雄一郎
1966年生まれ、日本大学芸術学部 演劇学科卒業。
アート×デザイン思考講師/ トヨタ自動車から内閣府まで新規事業開発専門のフリーエージェントを経て公益代理店 一般社団法人i-baを設立。熊本大学「地方創生とSDGs」/京都芸術大学「縄文からAIまでのアート思考」非常勤講師。地域デザイン学会 参与。FreedomSunset@江ノ島主催。DJ/トランペッター。逗子アートフェスティバル2017・2020プロデューサー。https://www.facebook.com/shiba.FreedomSunset/