第23回 子どもたちとの取り組みCOLOMAGA Project(1)

COLOMAGA Projectとは

子どもローカルマガジンの略で、「コロマガ」と名付けたこのプロジェクトは、子どもたちが自分の住んでいる町を調べて、取材して、記事にして、それをマガジン(雑誌)として出版するプロジェクト。

地域活性と子どもの創造性の育成を同時におこないながら、シビックプライドを醸成していく活動として、静岡県伊豆市の仲間たちと始めたプロジェクトである。

このプロジェクトを始めた当時、私たちはひとつの仮説をたてて、この活動をはじめた。
参加した子どもたちは、成長し、生まれ育った町から離れることがあったとしても、継続して、自分の生まれ育った町に積極的に関わり、さらにこのプロジェクトを続けていくために、自分たちが次の担い手になっていくというものだった。

その仮説の結果を見るまで10年間はかかるが、2013年にはじまったこのプロジェクトを運営している伊豆市の仲間たちはすでに7年間、この活動を続けて来てくれた。
(実際、この継続力はすごいと思います。感服してます。)

今年で8年目のこの活動は、10年まで残り2年あまりとなってきた。
活動をはじめた頃に立てた仮説は、現実的なものに変わりつつある。

そして現在、初期のころに活動に参加してくれた子どもたちは大学生になり、仲間たちを集めて、このプロジェクトの運営を半分以上担うようになって来てくれたのである。

地域活性とデザインのきっかけ

2008年に私は、それまでの個人事業主の業態から株式会社へ法人化し、それをきっかけに、自分の生まれ故郷になにか貢献する機会がないかと探しはじめ、旧友をたより、地元の色々な人に会い始めた。

そして出会ったのが、NPOサプライズという団体の代表で、伊豆地域活性の活動で活躍するの飯倉清太さんだった。

彼との出会いから、行政や地域活性の活動をしている多くの団体の方と交流を持つきっかけを持っていった。

そこで気づいたのは、ややブームでもあった非営利団体法人NPOと地域活性の活動は、デザインとはかなり無縁であり、告知用のチラシやホームページなどの手作り感は、今から考えると、ほのぼのしているとさえ思える出来栄えのものが多かったということである。

この手作り感たっぷりの告知物を目にした時に、デザインという創作活動自体に触れる機会を作ることが、地域を活性化していくひとつの契機作りになると直感した。

と、いうものの、デザインに触れたことがない人にとってみれば、それは余計なお世話であり、デザイナーの傲慢のように思えただろう。

その中でも、今まで触れたことのないデザインに関心を示してくれる人たちが現れて来てくれたことで、デザインを教えるというきっかけを作ることが出来た。
ここで何度かデザインの講座を繰り返すうちに思ったのは、子どもの時にデザインという創造活動に、触れた経験の有無が、クリエイティブへの関心につながるということである。

子どもたちと一緒にデザインする

そこで、子どもたちと一緒にデザインをする機会を作ろうと、NPOサプライズの方達が様々な方面に声をかけてくれ、手をあげてくれたのが修善寺にある小学校であった。

この修善寺の小学校でおこなったデザインの授業では、子どもたちのデザインへの関心の高さと、物怖じしない発言など色々な気づきを得ることができた。

デザインというものに懐疑的であったり、鼻から自分とは無縁と思っている人に対してデザインの講釈を述べるよりも、子どもたちの好奇心と関心の中に、デザインが入っていけば、かなり積極的になってくれると実感した。

しかし、いきなりデザインのことを話をしても子どもたちが理解できるはずもなく、グラフィックデザインの真似事としてロゴやポスターを作っても、図工の時間とあまり大差がない。

そこでデザインをする題材として注目したのが、壁に貼られていた、子どもたちが地域の景勝地や史跡などを調べ、まとめたものだった。
修善寺の町にある、北条氏の史跡や、富士山の見える地元民しか行かないような小さな山のこと、町の名前の由来にもなった修禅寺のことなどが、丁寧にしらべられて、まとめられ、ポスターとして壁に貼られていたのである。

このポスターの内容を吟味し、修善寺の地図としてまとめて、観光マップとして子どもたちと一緒に作れないかと提案したことから、子どもたちが考えた大きな観光マップを作ることとなった。

5年生の子どもたちは積極的に自分の与えられたページのレイアウトを考えたり、ページ内に収まるように文字数を考えたりして記事を書き直してくれた。
レイアウト自体は、子どもたちのアイデアをベースに、弊社が担当し、A1サイズのマップ折(W折りクロス2つ折り)の地図が出来上がり、2000部ほど印刷をした。

翌年の6月の修学旅行に際に、この修善寺の小学校の子どもたちは、5年生の時に作った印刷された観光マップを持参し、東京の上野公園で道ゆく人々に修善寺の地図です、と配布していった。

子どもたちから手渡された修善寺の案内を見た大人たちは、どの人も微笑ましく受け取り、その場で地図を広げて読んでくれた人は関心してながめてくれていた。

そして数日後、見知らぬ人から学校に電話が入ったそうだ。
その内容は、上野公園で修善寺の地図をもらったのだが、その内容がとても素敵で感激してしまい、思わず電話をしてしまったということだった。

この電話がきっかけとなり、子どもたちとA5サイズ32ページの冊子づくりに進んでいくことになった。

※この記事は代表幹事の浅井由剛が執筆したNOTEの記事を転載したものです。
NOTEの記事はこちら

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