人々の心に寄り添った感性を重視して、人々の体験に寄り添ったことを生み出すための感性思考が今後は大きな意味を持ちます。
論理性を重視して考えて生み出したものだと、実際に人がどう感じるのかが重要視されず、合理的ではあるが人々の心に刺さるようなものは生まれません。
人々の感性にスポットを当てて、観察していくことで机上の空論以上のものを発見できます。
論理性を超えて、新しいアイデアを世にもたらすために人々の感性に訴える方法は必見です。
頭で考えたことだけでなく、人々の感性といった実際に感じることを重視しています。
新しいものを創造して、試行錯誤しながらアップロードして行く考え方にアート思考に通じるものを感じました。
目次
はじめに デザインスクールのプログラムへのご招待
第1講義 「ビジネス×デザイン」マインドセット――Mindset
第2講義 強烈なアウトプットを生む思考法――Output
第3講義 創造性を高めるインプットの技法――Input
第4講義 相手の右脳と左脳を動かす伝え方――Presentation
第5講義 〝売れる〟の確度を上げる――Marketing
最終講義 「ビジネス×デザイン」人材こそ最強の生存戦略
人々の感性に寄り添った考え方
本書は、感性思考の重要さを伝えている本です。感性思考では右脳を駆使して人間の感情に訴えたり、体験を促したりします。
実際に感じたことを通して、「自分ごと」として経験を受け止められるようになります。
今までビジネス世界では、左脳的な論理性・合理性が重要視されてきました。
しかし、論理性・合理性は今でも大切ではありますが、加えて人間の感性に訴える思考と両輪で駆使して新たな考えや視点を創造して、まず実践してみることが重要となっていくように思えます。
感性思考を高めて自分の思考をビジュアル化、視覚的にプレゼンするなどして
、人々の心に響くことを形にしていくことで論理性・合理性を超えた創造を行うことができます。
著者はビジネススクールで学んだ
思いついたら即、形にしてみて、うまくいかなかったら別のアプローチでつくってみる
『感性思考』( P.31)
という実践方法をもとに試行錯誤を繰り返して、人々にとって便利なものを開発する大切さを述べています。
たとえば、おもしろいアプリを思いついたら、商業的に成功する形になるまで議論を重ね完成品として世に出すのではなく、すぐに世の中に出して、人々の反応を見て形を変えていき、完成させるようなことです。
完璧な完成品を世に出すのではなく、未完成品を世に出して、アップロードさせていくことです。
そこで重要となるのが人々の感性です。
人々がどう感じているのか観察して、それに応じてアップデートしていくことで人々の心に訴求できることを創造できます。
人々がどう使うのか、それを使いどのような効果がもたらされるのか、といった経験にフォーカスして新しいものを生み出していくことが鍵となります。
本書にはデザインスクールで学んだ著者の感性思考的に物事を観察する方法、感性に訴える方法といった、人々の感情に訴求するやり方が多数掲載されています。
アメリカのディズニーワールドに動物園が誕生したプレゼンの秘話、Apple StoreにおけるMac Bookの展示のこだわりなど、感性を動かす事例の数々が個人的にはビジュアル化によって訴求力を高めて行く方法として興味深く感じました。
右脳を活用したデザインスキルの視点を学ぶことを通して、人々の感性に寄り添った創造を行うための方法をこの本で育むことができます。
2016年1月にシティ・ユニバーシティ・ロンドンを卒業。2016年4月から5年間リコージャパンでICTソリューションの営業に従事。2021年5月から共同通信デジタルに転職。ヨーロッパの芸術作品(絵画、小説、映画など)が好きで、アーティストの作品を創り出していく考え方に興味を持ち、アート思考研究会に参加。2020年4月に第2期ディスカヴァー編集教室の卒業生となる。