【日本人の妄想力】

日本に芸術という概念はなかった。
日本で最初に芸術という概念が生まれたのは、明治時代。最初に訳語としての「芸術」を用いたのは1883年(明治16)の中江兆民と言われています。つまり、その前まで芸術という言葉(概念)は日本になかったということになります。芸術という概念自体、欧米の文化として輸入された概念であったのです。その頃から芸術やアートが欧米化していったのでしょう。自由に表現する芸術の一方で西洋から輸入された教養としての芸術が文明国家として持て囃されたのではないでしょうか。つまり、今私たちが思う芸術は日本の独自の絵画や彫刻、音楽などの表現ではなく、欧米基準のものの見方にはまっているともいえます。

日本の独自性や創造性はどこにあるでしょう?

日本の妄想力
漫画は日本人独特の妄想の塊です。ドラえもんの創造力、人に愛されるアトムの様なAI。そこに日本独自の創造力の源泉があると思います。台湾のIT担当相オードリー・タンの自叙伝「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」の中にもドラえもんやエヴァンゲリオンなど日本のアニメのキャラクターの話が出てきます。彼は「ドラえもんこそ、支援のAIのモデル」といっています。それだけでなく、日本のアニメやマンガは世界のクリエーターに賞賛されています。では、絵画の視点から見て漫画のルーツは何でしょう?おそらく、浮世絵ではないでしょか?誇張と簡略化、繊細さと大胆さ。

印象派と浮世絵
19世紀後半、美術アカデミーが権威をもっていたヨーロッパでは聖書や神話が絵の主題となっていました。ゴッホ、セザンヌなど印象派の画家たちは、浮世絵の構図と色使いから大きな影響を受けたと言います。モネは浮世絵のコレクターでもあり、多くの浮世絵を所有していました。

浮世絵の凄さは実物を妄想で誇張したことではないか、、最初から写実を無視して心の目で見たモノを描いていた様にも見えます。浮世絵の自由な誇張や大胆な構図は自然を造形化した縄文式土器から日本人なりのものの見方としてあったのかもしれません。この妄想による独自の誇張が日本人のオリジナリティーでありクリエイティビティなんじゃないかと思います。誇張とは目で見たものを心の目で変換して描いたものだと言えます。まさに、自分なりのものの見方です。

去勢された妄想
明治以降、近代化とともに産業化がすすみ、生産性重視の資本主義では余計な妄想は必要なくなってきます。黙って言われた通りに機械の様に生産することが経済成長でした。つまり、妄想を去勢する事でコントロールしやすい生産性重視の社会が経済大国日本を生んできたと言えます。日本人独特の妄想力は経済成長と引き換えに失われていったのかもしれません。ところが今、生産性はAIやロボットが担う時代になりました。人間とAIの大きな違いは妄想です。多くのイノベーションは妄想から生まれます。私たちの根っこにある自分軸の妄想力と向き合う事。これもアート思考で伝えたいことの一つです。


アート×デザイン思考入門と実践
アート思考の入門編と実践編をスキルシェアサイト「ストリートアカデミー」でZOOMによるオンライン開催をしています。
いつでも学べるUdemyのオンライン講座 
‪2時‬間を超えるアート×デザイン思考のセミナーをオンライン学習サイトudemyに公開しました。
シバのツイッターはこちら(お気軽にフォローしてください)

柴田”shiba”雄一郎
1966年生まれ、日本大学芸術学部 演劇学科卒業。
アート×デザイン思考講師/ トヨタ自動車から内閣府まで新規事業開発専門のフリーエージェントを経て公益代理店 一般社団法人i-baを設立。熊本大学「地方創生とSDGs」/京都芸術大学「縄文からAIまでのアート思考」非常勤講師。地域デザイン学会 参与。FreedomSunset@江ノ島主催。DJ/トランペッター。逗子アートフェスティバル2017・2020プロデューサー。

https://www.facebook.com/shiba.FreedomSunset/

関連記事

  1. 【ライゾマティクスのアート思考】

  2. 心の感覚の磨き方(5)「3つの質問」に答えていくと、自分の心の動きが見…

  3. 第10回 ヒッピーカルチャー(1)

  4. 第19回 意識を自分に向ける

  5. 【アートとビジネス】

  6. 第20回 アート思考への期待と不安

  7. 【日米のアート思考の違い】

  8. 心の感覚の磨き方(2)虫の目を育てる

2021年7月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

入会案内

ご入会手続きはこちらから

献本について

献本をご希望の方はこちらへ

Archive

アート思考関連記事のツイート