明治大学サービス創新研究所が発行する機関紙「次世代研究」に、秋山ゆかり・阪井和男著「アート思考はブームになったのか?:デザイン思考とアート思考の社会的受容」が掲載されました。
アブストラクト:
明治時代初期における西欧文化が咀嚼され浸透する過程で英語“art”の日本語化が進められた結果,芸術,美術,アートなどの言葉が併存するようになった歴史的経緯を振り返って,それぞれの言葉が持つ意味とニュアンスを明らかにして“art”概念の浸透と分化を論じ,現代日本のメディアにおけるデザイン思考とアート思考の興隆を一般新聞の見出しでの出現頻度によって実証する。さらに,一般新聞と書籍におけるデザイン思考の優位性のなかで勃興しつつあるアート思考の状況を検証し,さらに先行指標としてのネットにおけるインパクトを明らかにする。これによって,2019 年 8 月からアート思考がデザイン思考を凌駕しつつある現状を検証し,アート思考がネットを中心にブームを引き起こしていることを論証する。最後に,アート思考が一般新聞においてもブームを呼ぶ条件を検討し,芸術思考が回帰する可能性も示唆される。