【モノと人、日本人の精神性】

モノと人との関係
いま、世界で1番売れている日本の本は40ヵ国1000万部売れてる『人生がときめく片づけの魔法 1・2』だそうです。※まだ読んでないですが、、
物質的に満たされるた社会でモノを所有するコトに飽和が起きた事で、片づけるコトが日本から海外へ文化として輸出されている。これは日本人としての独自のモノ観が文化として世界に受け入れられているのではないか?と思うのです。

ちょと調べてみるとこんまりさんは巫女さんの仕事を5年間されていたそうです。それが影響しているかわかりませんが、お別れするモノを擬人化した表現が見られます。これはモノにも魂が宿るとする日本人独特のメンタリティーが背景にある様に思われます。つまり、八百万の神、神道の考え方です。外国の方が珍しがることの1つとして、自販機やエスカレーター、湯沸器が人の言葉を話すことです。生活の中にまでモノが言葉を話す事を取り入れているのは日本独自の考え方の様です。擬人化文化というのは日本の文化の根底にある様で、古くは縄文式土器に人の形や顔、抽象化されたイノシシやヘビなどの動物が一体化された造形が見られます。神聖な儀式と日常に使う道具が一体化しているのです。

人面香炉形土器:井戸尻考古館

『鉄腕アトム』や『ドラえもん』の様に日本のアニメには心を持った愛すべきロボットが数多く登場します。もちろん海外にも『きかんしゃトーマス』や『カーズ』も乗り物を擬人化した作品もありますが、『ターミネーター』や『マトリックス』の様にAIが人間を支配する物語のテーマが比較的目立ちます。

AIに心が持てるか?
これはモノと人との対話であって日本人のもっている精神性が背景になるとすれば、例えばAIと人との関係にも言えるのではないかと思います。
日本の人工生命の権威でもある、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼CEO兼所長 北野さんにAIに心が持てるか?というテーマでお話しした時、結論としては「AIには「死」の概念を自ら持つ事はできないので、心は持てないが、人間がAIに心があると感じることがあれば、AIにも心があると言ってもいいのではないか」と話していました。

台湾のデジタル大臣、オードリー・タン氏は著書「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」で中でソーシャル・イノベーションを支えるのはインクルージョン、もしくは寛容であると語っていました。その根底にはモノ、場所、概念など万物に神が宿る八百万の神の思想があるといいます。「どんなものであっても、人間の心を感動させたり、何かを感じさせたりすれば、それで精霊が宿る」という感性は台湾の道教や民間信仰にも共通していて、持続可能な社会を作るために必要だと書いています。また、ドラえもんとのび太の関係がAIと人間の理想的な関係としています。日本人の物と人の関係がこれからのテクノロジーの進化や社会の持続可能性には重要なヒントになるのではないでしょうか。

アートとテクノロジー
アルスエレクトロニカ 総合芸術監督 ゲルフリート・シュトッカー氏が来日していた時に「AIがどんどん人に近くなっていくなかでアートとテクノロジーの理想的な未来像について、どう考えていますか?」と質問したことがあります。

「アートは根本的に人とは何かについて探求してきました。アーティストは人間探求のスペシャリストです。アートとテクノロジーは元は一緒なんです。アートとテクノロジーはもっと初期の段階から対話をすべきです。テクノロジーがどんどん人間に近くなっていく中で、AIは人間の核心に近い技術だと思います。だからこそエンジニアはもっとアーティストとコラボしていく必要があると考えています。そうする事で安心してテクノロジーが進化できる」と答えてくれました。

人とモノの関係が発展し、いつかAIが人間の脳を越え、人とAIの関係がある部分で逆転することもあるでしょう。その時にAIに宿る八百万の神という日本人の精神性とアートの視点は、進化するテクノロジー社会において人間と機械との共存・共生のために重要な視点だと思います。

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