【アート思考実行のプロセスと組織】

今回はアート思考実現までのプロセスの一例と組織化について書こうと思います。セミナーで「アート思考を組織に実装するにはどうしたらいいか?」という質問があります。まず第一にチーム全員がアート思考になる必要は全くないと答えます。そんなことになったら崩壊します。アート思考とデザイン思考とロジカル思考のバランスこそが大切なのです。
※その点についてはNewsPicksのインタビューを参照。(https://newspicks.com/news/5502141/)

アート思考のプロセス
以前ブログにも書いた自分だけの妄想物語を作るワークショップの記事を例に説明します。まずこちらを読んでください。

ここで私はゴリラを自殺の名所に置いてみるという新しい概念(新規事業)を提案しました。

①アート思考のフェース
アート思考からの荒唐無稽な妄想からスタートします。一見何の繋がりもないゴリラと自殺の名所。この概念自体、自分軸で創造(妄想)したオリジナルな妄想物語のフェーズです。でも、なんとなくそこに実現したら自殺者が減るかも・・・というワクワクがあったりします。少なくとも発想した人はそのイメージが見えていて実現に向けて情熱が芽生え始めます。

②デザイン思考のフェーズ
次に物語の主人公である自殺願望者の心理について冷静に客観的に考察します。これはデザイン思考でいう顧客の本質的ニーズになります。この荒唐無稽な結び付き(アート思考)が本当にその自殺志望者の命をつなぐプランであるかを自殺願望者の本人の身になって様々なデータやインタビューで検証します。

③ロジカル思考のフェーズ
実現可能性に対してリアルに追求します。
それが、秋山さんのこの思考です。おそらく、「ゴリラ×自殺の名所!!面白い!自殺者減るかも!」というイメージが共有できたのでしょう。そこから秋山さんのロジカル思考が発動します。

実現する上でゴリラだったらいくらなのか?コストを試算し、費用対効果を検証します。実現できるのか?無理そうだったらゴリラ以外の動物ではどうか?様々な角度からビジネスモデルを検証していきます。

この様に、アート思考からデザイン思考、そしてロジカル思考の循環を繰り返しながら妄想を現実化していく作業から新規事業が生まれます。

この事業が軌道に乗りビジネスとしての収益性と、多くの自殺願望者がこのプランによって救われ、さらに自殺の名所には必ずゴリラ、もしくはライオンがいるといことが広く社会に受け入れられる事によってイノベーションとなります。

アート思考を実現させるための組織
この①②③のプロセスを1人でやるのは大変な事です。プロデューサー的な立場の人はこの3つが全体像としてイメージできていることが必要です。とは言っても、それぞれを完璧にこなすのはかなりの力量が必要ですし、大きな案件になれば当然1人ではできません。

そこで、組織が必要になります。アート思考で発想するようなイノベーションレベルになると、未だ存在しないサービスや商品な為、簡単には理解できないでしょう。特に経営陣にとっては「それ本当に儲かるのか?」という質問が必ず出てきます。新規事業の成功率は「センミツ」と言われています。つまり、1000分の3という意味です。

当然、採択されるためのロジカルな理論武装も必要でしょうが、私の経験上、最終兵器はパッションしかないでしょう。このパッションを支えるチームビルディングがとても大切です。

全員がアート思考になると全く収拾がつかなくなるのはイメージできるでしょう。荒唐無稽な妄想で盛り上がって終わりです。大切なことは、その次に出てくる荒唐無稽な妄想に共感するフォロワーを生むことです。

この動画を見てください。
ミュージシャンでもあり、起業家のデレク・シヴァースがTEDのプレゼンで使用した動画です。

動画についての説明はこちら ▷“孤独なバカ”をリーダーに変えるフォロワーの力とは PRESIDENT Onlineより。 

誰に指示や命令されたわけでもなく、ムーブメントが自己組織化していくのがわかると思います。

1人の変な裸踊りからムーブメントが起き大衆化していくプロセスにおいて、1人の裸踊りはアート思考の孤独な変人です。そこから1人のフォローが変人をリーダーに変えていきます。そして、誰もが嘲笑した変人のダンスはみんなのダンスになっていくのです。ここにイノベーションが生まれるわけです。

このようにして生まれたムーブメントは変人と最初のフォロワー、そして、そこに乗っかるその他大勢で構成されます。重要なのは変人と最初のフォロワーです。変人を理解して共創することが最初の一歩になります。これが組織に実装されない限りイノベーションは起きないということがわかると思います。

次に、①②③のプロセスを最初のフォロワーによって共有されたパッションに乗って変人をフォローするチームが②③のプロセスを遂行する必要が有ります。

このようにアート思考の変人を支えるマネージメント力を持つデザイン思考の共感と、言語化し実現するロジカル思考の3つのパーソナリティーが最初の変人のパッションを共有しながら実現することで、今までにないムーブメント(イノベーション)が生まれる環境となるのです。

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