「対話型アート鑑賞」の体験記

2020年10月18日、東京都中小企業診断士協会城南支部の会員部がオンラインセミナーとして主催した「対話型アート鑑賞」を受講しました。

対話型アート鑑賞(VTS)というやり方があるのは知ってはいましたし、一度、参加したいと思いつつもまだ未体験でした。

本来は、美術館の中で絵画も見ながら対面式で行った方がいいのかもしれませんが、現在の状況を踏まえてZoomでの開催でした。

初めて経験する人からすると、いきなりリアルの場で行われている会に参加するのは、敷居が高いかもしれません。

私個人としては、Zoom開催だったために気楽に参加できた部分はありました。

また、主催の「診断士協会城南支部 会員部」には知り合いもおり、その面からも緊張せずに参加を決められたと思います。

講座の概要

このイベントでは、美術館を中心にアート・コミュニケーターとして多数活躍中の上田氏、他数名を鑑賞ファシリテーターに招き、オンラインで気軽に対話型鑑賞の楽しさを味わっていただきます。(今回は絵画を鑑賞します。)

近年、アート鑑賞は、ビジネスの分野にも通じる観察力や発想力を養うことができると注目を集めています。人と接する機会の多い診断士にとって、多様な感性を知ることはよりよい人間関係構築のヒントにもなり得ます。

本セミナー告知サイトより

Zoomのブレイクアウトセッションを活用して会は進みました。

4~5名で1班になり、アート・コミュニケーターの方のファシリテートの下、意見交換を行いました。

これを3回繰り返します。

なので、鑑賞した絵は3枚です。

また、ブレイクアウトセッションは毎回、メンバーをシャッフルしていたので、まったく同じメンバーで班を構成することはありませんでした。

セミナーとして行ったのは以上です。

最初にやり方を説明していただき、各班で意見交換した後、全体に戻り、各班から出た意見をシェアして、再び、ブレイクアウトセッション戻る、を繰り返しました。

講座の感想 「他人の言葉に触発されて、気づきを言語化する」

はじめに

「この絵を見て、なにか気づいたこと、感じたことを話してください」

と言われたのですが、なにも言葉が出てきませんでした。

そもそも学生時代、図画工作や美術が苦手だった私は、絵をどのように見ればいいのか、皆目見当がつかないのです。

ですから普段から「なんとなくいいな」「なんとなく違和感がなるな」という感じで絵を見て、それで終わりにしていました。

好きな絵はありますが、それはもちろん「なんとかく」好きになったのであって、理由を述べるなどできません。

「好きなものは好き。好きになるのに理屈はいらない」

と常日頃から言ってきていました。

今回、全員がなんらか発言をしなくてはいけなかったのですが、当然、班内で口火を切る役はできません。

誰かが発言したのを聞いてから、自分の感想を述べる形にしていました。

すると、自分が発言する順番が回ってきたとき、少しですが感想や疑問を述べられるようになりました。

他の人の感想や意見を聞いているうちに、自分の中にあった言葉にできない違和感が、少しだけですが言葉にできるようになっていたのです。

今回見た3枚のうちの1枚は、ポール・セザンヌの『カード遊びをする人々』(5枚あるうちの、現在、ニューヨーク・メトロポリタン美術館に収蔵されているもの)でした。

ポール・セザンヌ – https://www.metmuseum.org/Collections/search-the-collections/110000301, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=149051による

これを絵のタイトルなどの前提情報をなしで鑑賞したのですが、私は見た時から微妙な違和感を覚えていました。

他の人の話を聞くうちに、その違和感が、少しだけ見えてきました。

つまり、男たちが手にしているカードのようなものがなんなのか、また、室内と思われるのに、かなり厚着をしていて、かつ帽子をかぶっているのはなぜか、というあたりに覚えた違和感でした。

今回、言語化できたのはこの程度ですが、なにも言葉にできなかった時点から考えると、前に進めた感触はあります。

対話型アート鑑賞(VTS)によって身につくと言われている「想像力、観察力、コミュニケーション力、他者への理解力」といったことは、一度体験したくらいでどうなるものでもないと思いますが、繰り返して経験していけば身につけられそうだ、との想いは強くしました。

中小企業診断士協会内の組織が、アートをテーマにしたイベントを企画すること自体、ビジネスの中にアート的な思考を取り入れようとする風潮が強まっている証だと思います。

できれは、こうしたイベントは一過性のものではなく、継続して企画していってほしいものです。

何度も繰り返せば、リピート参加者は考えを深化させられますし、対話型アート鑑賞を体験する人が増えれば、アート思考的なものの裾野が広がっていくと思うからです。

私は、今回の主催者の方々と同じ「東京都中小企業診断士協会」に属していますが、支部は城南ではなく城北支部所属になります。

城南支部でこうしたイベントが継続されないなら、自分が城北支部で企画しようかな、とも思っています。

そのくらい、継続していくことに意味がる鑑賞会だと思いました。

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